選挙の結果で「私たちの生活はどうなるのだろう」とやきもきしている方も多いでしょう。アートに携わる私からすれば、政治の方針によってアートイベントが増減したり、アーティストが制作・発表する場が増減したり、ということにやきもきします。これまでの例を見ながら、政治とアートの関係性を考えていきます。


実は政治とアートはつながっている

好きな絵を描いたり、興味で美術鑑賞を楽しむような人たちにとって、アートは「趣味」でしょう。しかし、そうではなく「アートの力で社会と関わろう」や「作品で人の意識を変えよう」など、アートを通じて地域にコミットするアーティストたちは多くいます。

また、いま日本の各地で、国や自治体の予算をつかったアートイベントが多く開催されています。こうした芸術や文化のための政策を「文化政策」と呼びます。社会とアートが関わるためには、政治とアートの関わりも深くなる必要があるのです。


東京都とアートの関わりあい

東京都は都立の美術館を複数持ち、現代アートのサポートも行う、世界的に見ても文化政策に力を入れている都市です。そのひとつに、ストリートペインティング事業「六本木トンネルの壁画」があります。これは「街中にアートがあるといいよね」というような主旨で、選抜された若手アーティスト5人が、六本木トンネルの壁にそれぞれ絵を描いたというプロジェクト。

六本木トンネルの壁画(2014年12月撮影)

六本木トンネルの壁画(2014年12月撮影)


 
真夏の約2ヶ月間、アーティストたちは協賛により提供された塗料などで、この壁画制作に取り組みました。しかしある選挙の後、この主旨に反する人たちの勢力が強まりました。

参加アーティストのひとり、松本力さんはこう振り返ります。

「ある日突然、壁画を消す、という話が持ち上がったのです。しかし選挙があって政治方針が変わったとしても、壁画を消すことに至らないことになりました。おそらく六本木トンネルの壁に絵を描く、というアーティストや関係者の取り組みの意義や志向性が認められたのかもしれません」。

今でも六本木トンネルでは、松本さんをはじめとしたアーティストの壁画を見ることができます。