「自分自身をもてなす」という気持ちが大切です
――たとえば、自分の部屋に人を招くときに、趣味がオタクっぽいとか、マニアックすぎると、引かれたりしそうな気もします……。
「ファッションでも『ずいぶん奇抜な格好だな。TPOをわきまえろよ』という人がいますが、他人がとやかくいうことではありません。本人が好きでやっているワケですから……。そうはいっても引きこもっていない大人なら、多少は来客に対する配慮というか、社会に対して気を配る必要があるでしょう」
――自宅に人を招くためのインテリアにするポイントはありますか?
「お店のインテリアには『お客さんをもてなす』という基本的な機能があります。ですから、自宅なら『自分をもてなす』という気持ちが大事です。少し引いて考えて『自分は自分に、どんなもてなしがされたいかな?』ということを考えるといいと思います」
――高橋さんは飲食店の設計を多くされていますが、たとえば自分の家のキッチンにお店の厨房の考え方を取り入れる、といったことは可能でしょうか?
「お店の厨房は機能優先。どちらかというと、つまらないものです。家庭のキッチンは部屋のインテリアの延長ととらえた方が、たのしいものとなりますよ。ただ、業務用のステンレスの台や冷蔵庫の『素っ気ないデザイン』はかっこいいです。そんなインダストリアルな方向にいきたいのであれば、中古などでプロ用の厨房機器を手に入れて、自宅のインテリアに取り入れるというのも、おおいにアリです」
ほどよく「ユルい」部屋を目指しましょう!
――ご自分の家やオフィスのインテリアで気をつけていることはありますか?「自宅は放っておいてもモノが集積されます。銀行からの封筒や新聞、いろんな請求書、勝手にポストに入れられるフリーペーパーなどなど……、モノがあふれてきます。そんなモノたちを、がんばって処理する労力は大変なものです」
――いつのまにか「所帯じみた」部屋になってしまいます。
「所帯じみていくのは、たとえ一人暮らしでも、法的には『世帯もち』ですから当然です。家のインテリアで、手っ取り早いのは片付けが一番。雑然とモノが散らかっていても、その積み上げ方、見えないようにする方法を考えることでしょう」
――たしかに、望んでいないモノたちも、いろいろ「侵入」してきますよね。
「ですから、大事なのは『懐の深いインテリアにする』ということ。きっちりと自分のスタイルをもってしまうと、外から意表を突いてやってくる『侵入物』たち、たとえば趣味に合わない、おみやげモノとか(笑)、を許容できません。だから自宅のインテリアには、ほどよい「ユルさ」が必要なのです」
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「お店のデザインに学ぶ自宅のインテリアコーディネート」を
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