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3つのシニア犬サービスを比較--うちに合うのはどれ?(2ページ目)

犬の世界も高齢化しています。シニア犬に対応するサービスも少しずつ増えてきました。そうしたサービスを利用する際には、賢くチョイスしたいものです。

大塚 良重

執筆者:大塚 良重

犬ガイド

短期お預かりタイプの介護支援サービス

おばあさんと犬

昨今では老人ホームの犬版といったような施設も登場している(c)daj/amanaimages

自宅を離れ、デイケアや連泊タイプの介護支援サービスです。中には送迎サービスがあったり、長期の預かりにも対応していたり、24時間獣医師が常駐しているところもあります。経営母体が動物病院であるケースもあり、その場合には医療面でのサポートを受けることも可能です。

■こんな時に
「一日出かけねばならないので、自宅に愛犬を置いて行くのは不安。専門のスタッフがいるところで面倒を見てもらいたい」
「自分が体調を崩し、愛犬の面倒を見てやることができない。しばらく代わりに世話をして欲しい」
「愛犬がより楽に生活できるよう、介護のヒントを教えてもらいたい」
「引越しをしなければならず、その間だけ預かって欲しい」
「たまには息抜きをして、家族と旅行に行ってみたい」

■平均的料金体制
カウンセリング料金+利用料

カウンセリング料金は3,000円程度が平均的ですが、これより高いところもあります。デイケアの場合、中型犬では3,500円~5,500円くらいといったところでしょうか。お泊まりになると一泊7,000円程度が平均的でしょう。介助をすれば歩けるのか、寝たきりなのかなど、介護度によって料金が違う場合もあります。

単純に比較することはできませんが、ペットシッターサービスでは半日(12時間)のケアをお願いすると2万円を超えるところもありますので、金額的にはお泊まりで預けたほうがリーズナブルである場合もあると言えます。

<利用するうえでの注意点>
預けるということは犬にとっては環境ががらっと変わるということ。中にはそれによっていい意味での刺激を受け、元気になるタイプのコもいますが、反対に環境の変化がストレスとなって体調を崩すこともあります。ある飼い主さんが所用で長期自宅を離れ、別のところで愛犬の面倒を見てもらったところ、そのコは段々と体調を崩し、飼い主さんが帰宅した直後に安心したように息を引き取ったという例もあります。預ける以上は、自分のコが預けても大丈夫な状態かどうか見極める必要があるでしょう。

そういった意味で、シニア犬は健康面の問題を抱えていたり、体調変化を起こしやすかったりしますので、常に動物病院と連携がとれているところか、動物病院が併設していたり、獣医師が常駐しているようなサービス業者であるほうがより安心できるのではないでしょうか。


長期~終生預かり型の介護支援サービス

昨今、一部で注目されているのは老犬ホームと呼ばれる長期または終生預かり型の介護支援サービスです。これについては飼い主さんたちの間でも賛否両論あり、微妙なスタンスにあるサービスであると言わざる得ないことは否めません。いわゆる、人間の老人ホームの犬版とでも言えばいいでしょうか。しかし、どうしようもない理由があって本当に困っている、かつ、それを利用するだけの余裕がある飼い主さんたちにとっては助かるサービスなのかもしれません。

■こんな時に
「自分が病気になってしばらく入院しなければならない。他に愛犬の面倒を見てくれる家族も友人もいないので、預かって欲しい」
「家を建て替えることになったのだけれど、その間、犬は同居できない仮住まいとなるため、家ができるまで預かって欲しい」
「自分も高齢で体の自由がきかなくなり、老人ホームへ入ることになった。他に面倒を見てくれる人もなく、介護状態である愛犬の新しい飼い主になってくれる人もいないので、愛犬が最期を迎えるまで面倒を見て欲しい」

■平均的料金体制
(入所金または保証金)+利用料

入所金や保証金を設けていないところもありますが、それを必要とする施設ではおおむね10万円~20万円程度。犬のサイズによって料金が違う場合もあります。利用料は月払いや3ヶ月払い、半年払い、年払い、生涯払いなどがあり、多くが犬のサイズによって料金差を設けていますが、中には一律料金になっているところもあります。

中型犬の場合ですと、1ヶ月で3万円~17万円くらい。年払いにすると36万円~150万円ほど。料金にかなり差があるのは、サービス内容や施設の充実度なども関係するでしょうが、やはり地域差というのは大きいようです。生涯にわたって愛犬を預ける場合には、100万円単位の費用が必要となっています。

この他、基本的な健康診断や病気予防、治療費などが料金にある程度含まれているところもあれば、別途必要となる施設もあります。

<利用するうえでの注意点>
特に、生涯にわたって愛犬を預ける場合、「これで介護から開放されて楽になる」などと短絡的には考えないで頂きたいと思います。それでは飼育放棄するのと同じこと。本来、飼い主自身が愛犬を最期まで世話をするのは当たり前のことです。預けるしか選択肢がないのだというのであれば、そこにはきっと身を裂かれるような想いがあるはずです。それを感ぜずして簡単に生涯委託を選択するならば、元々犬と暮らすには不向きな人なのでしょう。どうか、とことん考えた上で決断してください。

また、介護が必要なシニア犬を長期預けるということは、その間に亡くなってしまう可能性もあるということ。年払いなど一括で料金を支払っている場合には、その差額はどうなるのかなど、費用が明確であるかどうかもきちんと確認することをお勧めします。

大切なわがコを預けるのですから、やはり常に動物病院と連携が取れる体制であるかどうか、医療面でのサポートがあるか、どんな環境で暮らすことになるのか、スタッフの対応などはチェックするべきでしょう。


いずれのサービスであっても、自分に代わって愛犬の面倒を見てもらう以上、サービスの内容以前に、まずはスタッフの人柄、人間性が大事だとガイドは考えます。更には、介護が必要なシニア犬というのは日々状況が変わったり、そのコそのコによって状態や世話の仕方が微妙に違ってきたりしますから、実際に老犬介護の経験をもつスタッフであるのがベストだと思います。もう1つ、愛犬の様子を細かく報告してくれることも大事なポイントでしょう。

海外から見ると日本のこうしたシニア犬サービスは少々理解の度を超える部分もあるようですが、それはともかく、私たちにしてみれば愛しきコであることは確かです。どうぞみなさんの愛犬が少しでも健康で穏やかなシニア犬生活が送れますように。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。

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