また「男子には影響なし」という情報もありますが、実際には午後入試の変化によって、男子にも決して無視できない影響が懸念されます。そのあたりのことについても、後半で触れていきたいと思います。
参考になる2009年の入試
ここで気になるのは、前回のサンデーショックの年です。前回のサンデーショックは2009年でした。この時はいったいどんな入試だったのでしょうか。東京近郊の中学校を例に、お話ししたいと思います。それまでのサンデーショックの年は、例年2月2日に入試をおこなう豊島岡女子や青山学院などは、難関校である女子学院やフェリス女学院などが2月2日に入試日を移してくるあおりを受け、易化するのが通例でした。しかし2009年はどちらの学校も人気が落ちず、むしろ難化したほどでした。つまり、2009年の女子の中学受験生は、みな強気に攻めたことが伺えます。
サンデーショックの年には各校警戒して合格者数を調整します。中には合格者数を増やす学校もあります。しかし豊島岡女子は、ライバル校が競合するために歩留まり率(合格者が他校に流れず入学する率)がむしろ上がると予測して、合格者数をぐっとおさえて来たのです。これにより2009年2月2日の豊島岡女子の倍率は、2月2日入試としては異例の高さとなりました。
2009年から何が変わったのか
では2015年入試でも同様のことは起こるのでしょうか。もちろんこれをチャンスととらえ、強気の併願作戦を取る人もいると思います。しかしここ数年でグッと加速した入試のトレンドがあることを忘れてはいけません。それは「安全志向の強まり」です。かつての中学入試は、イケイケゴーゴータイプの塾の先生が多かったせいもあって、強気に攻める入試が主流でした。そのためサンデーショックの年は逆にサンデーチャンスととらえ、桜蔭・女子学院を連続受験する生徒が多く存在しました。他にも雙葉・女子学院とか雙葉・フェリスといった併願パターンも多くみられました。
ところが近年では、とにかくまず合格校を1校おさえる、という安全志向の強い入試が主流となりつつあります。これは受験生の保護者の側が中学受験をよく研究するようになった結果、実績重視の塾側の思惑に丸々乗っかる保護者が減ってきたことが一因となっています。せっかく頑張って来たのだから、危険な橋を渡って全落ちしてしまうよりは、きちんと合格を取らせたいという保護者の方のお気持ちはよくわかります。また進学させてもよいと思える合格校を1校確保しておくことは、その後の受験を精神的に安定して進められるという点においても、安全志向はよりよい併願作戦であると言えます。
次のページでは、サンデーショックの危険な落とし穴と男子への影響について解説いたします。