労働時間
労働基準法では、労働時間の上限や休憩の長さ、休日の数について、会社が守らなければならないルールを定めています。これらは働く人なら是非知っておきたい、最も基本的で重要な労働条件です。社労士試験でも大変よく出題される分野ですので、しっかりと学習しておきましょう。→前回の記事はこちら
・トラブルを避ける「労働契約の基本」
(1)基本原則
まず、労働時間には、法律で上限が定められています。これを法定労働時間といいますが、1週間単位と1日単位で定められています。休憩は、1日の労働時間により、長さが決められています。
【法定労働時間】
▽1週間・・40時間以内
▽1日・・・8時間以内
特例として、以下の事業については、労働者の数が常時10人未満の場合に限り、1週間につき44時間まで働かせることが認められています。
*特例対象事業
商業・理容業、興業(映画の製作の事業を除く)、保健衛生業、接客娯楽業
【休憩時間】
1日の労働時間が
▽6時間を超える場合・・・45分間以上
▽8時間を超える場合・・・1時間以上
*6時間以下の場合は、休憩なしとすることができます。
(2)変形労働時間制
業種や業務の種類によっては、一律に法定労働時間の上限を当てはめることがふさわしくない場合もありますので、法律は次の4つの「変形労働時間制」という制度を設け、個々の会社にマッチした勤務体制を組むことを可能にしています。
○1ヶ月単位の変形労働時間制
- 1ヶ月以内の一定期間を平均し、1週間の労働時間が40時間以下の範囲内で、特定の週や日について、1週間及び1日の法定労働時間を超えて働かせることができる制度です。
- 例えば、毎月下旬が特に忙しく残業が多いといった業務の場合、あらかじめ下旬の勤務時間や出勤日を増やす代わりに、その他の期間の勤務時間を減らすことで、月間で労働時間を1週間平均40時間以内に収めるといった方法が取れます。
- 労使協定や就業規則(労働者数10人未満の事業場は就業規則に準ずるもの)で定めます。
○1年単位の変形労働時間制
- 1年以内の一定期間を平均し、1週間の労働時間が40時間以下の範囲内で、特定の週や日について、1週間及び1日の法定労働時間を超えて働かせることができる制度です。
- 例えば、年末年始の11月から翌1月までの3ヶ月間が繁忙期で残業が多いといった業種の場合、あらかじめ繁忙期の勤務時間や出勤日を増やす代わりに、その他の期間の休日を増やすことで、年間で労働時間を1週間平均40時間以内に収めるといった方法が取れます。
- 労使協定で定めます。
○フレックスタイム制
- 1ヶ月以内の一定期間の総労働時間を定めておき、日々の労働時間については、働く人が自分の裁量で決めることができる制度です。
- コアタイム(必ず働かなければならない時間)とフレキシブルタイム(働くかどうかは本人に任された時間)があり、会社でコアタイムが決められている場合は、その時間は必ず働かなければなりません。
- 労使協定で定めます。
○1週間単位の非定型的変形労働時間制
- 労働者の数が30人未満の小売業、旅館、料理・飲食店において、1週間ごとに翌週の各日の労働時間を定めることができる制度です。
- 労働時間の上限は、40時間以内、1日の労働時間は10時間以内となります。
- 労使協定で定めます。