冬の海のアイドルとなっているダンゴウオ。小さな体に、丸くて大きな目とたらこ唇。そのキュートな姿で多くのダイバーを魅了しています。
冬ならではの人気生物に会える!
水温の下がる冬は、普段はなかなか見ることのできないユニークな生物に出会うチャンス! 通常は北の海に棲む生物が見られたり、深海に暮らす生物が姿を現すこともあります。近年、関東周辺の伊豆半島や湘南・三浦、房総半島のダイビングエリアで、冬になると熱い注目を浴びているのが「ダンゴウオ」。成魚でも体長2センチほどの非常に小さな魚ですが、『ドラゴンクエスト』に登場するスライムのような愛嬌のある姿が大人気。赤や緑などカラーバリエーションも豊富で、冬の海のアイドル的な存在となっています。幼魚には、目のまわりから頭にかけて“天使の輪”と呼ばれる模様があり、さらにキュート。この模様は生後1カ月程度で消えてしまうため、それだけを狙って潜るフォト派ダイバーもいるそうです。
また、駿河湾や相模湾など深海につながるエリアでは、水温の低下に伴い、キアンコウやサギフエ、マトウダイなど普段は海の深場で暮らす生物がダイビングで見られる水深で姿を現すほか、過去にはホンフサアンコウやシギウナギ、なんとリュウグウノツカイやチョウチンアンコウといった超レアな深海生物が見られたことも。何が出るかわからない、そんなビックリ箱のようなおもしろさも、冬のダイビングの大きな魅力といえます。もしかすると、最近話題となっているダイオウイカがダイビングで見られる、なんてこともあるかもしれませんね。
水の透明度が上がり、最高の浮遊感が楽しめる!
水温が下がると共に、水中のプランクトンの数が減少するため、海の中は透き通るようにきれいになります。関東周辺の海でも、透明度が20メートル以上になることも。そんな透明度の高い海の中をフワフワと漂っているのは最高の気持ちよさ。また、トンネルやアーチなどのダイナミックな地形を楽しむのもおすすめです。熱海の「小曽我洞窟」や西伊豆・土肥の「八木沢・沖魚礁」など、冬の限られた期間しか潜ることのできないスポットもあり、毎年、ダイバーからの人気を集めています。混雑が少なく、ゆったり過ごせる!
夏の海水浴シーズンや秋の行楽シーズンは、ダイビングエリアに行く道が混雑することも多く、移動にかなりの時間がかかってしまうこともありますが、冬は海への道が混雑することも少なく、時間を効率的に使うことができます。また、ダイバーの数も夏と比べて少ないため、施設をゆったりと使うことができ、シャワーなども待ち時間も少ないというメリットも。アフターダイブの温泉がより一層気持ち良く感じられるのも、冬のダイビングならではの魅力です。そのほか、日本の最西端である沖縄・与那国島ではハンマーヘッドシャークの群れ、薩南諸島・沖永良部島ではギンガメアジやロウニンアジの群れが見られるなど、冬の時期に最盛期を迎えるダイビングスポットも。また、冬ならではのスペシャルなダイビングスタイルとして、北海道の知床半島では流氷の下を潜るアイスダイビングが体験できるなど、ここでは紹介し尽くせないほど冬のダイビングにはさまざまな楽しみがあります。
気温・水温共に下がるため、「冬のダイビングの注意点」で紹介したように、ドライスーツやフードなどでしっかりと防寒対策をする必要はありますが、ぜひ皆さんも魅力いっぱいの冬のダイビングを楽しんでみてください。