食と健康/魅力の食材・成分(肉・魚介・野菜・フルーツなど)

栄養豊富で消化にもよい「麩」、活用方法も無限大?(2ページ目)

精進料理に使用され、和食の伝統食材である「麩」。インターネット上でも、料理のカテゴリを超えた使い方が提案されるなど、注目度の高い食品です。日本では100種類以上もあるといわれる「麩」の魅力についてご紹介します。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド

日本各地に、地元の麩が100種類以上

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車麩を割った商品。本来は丸い車輪形。層になっていて噛み応えもあり、揚げるとお肉のような食感があります。

タンパク質やミネラル、ビタミンB群などが豊富で、消化・吸収もよいことから、麩は動物性食品を排除した精進料理において、豆腐や大豆加工品と同様に貴重なタンパク源でした。煮汁などをよく含み、揚げると香ばしく、肉もどきの料理に使用されることもあります。

麩には、地方色の強いもの、またもちもちとした生麩や、焼き麩、揚げ麩など作り方の違いから多くの種類があり、少なくとも100種類位以上はあるそうです(『日本農業新聞(2014.11.22)』)。

生麩にも、粟やヨモギをいれたもの、紅葉や梅の形や色づけしたものなどがあります。焼き麩には、山形県の「庄内麩」や、仙台の揚げ麩、石川県や新潟県の「車麩」、京都府や石川県の色取りのよい飾り麩もよく見かけられます。

他にも、角麩、安平麩など形状も様々で、また料理以外にも餡を包んだ麩まんじゅう、麩かりんとうなどのお菓子など、幅広く親しまれています。

手間のかかる麩は、貴重品でもあった

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パンの代用に麩でプディングをつくってみても。意外な組み合わせも楽しい。

中国から伝わった「麩」は「麺筋(めんきん)」と呼ばれ、『本朝食鑑』には「ふすま」の加工品として紹介されています。南北朝時代に食用として利用されるようになったという記述があります。

江戸時代の文献には、男性が脚で踏んだりしてつくられ麩師という職業もあったとか。当時から生麩は貴重品とされていました。明治時代に焼き麩が庶民にも普及してから、主流になったとか。

ガイドも何度か生麩を作ったことがありますが、何度も水洗いし、できあがる量は使う小麦粉の半分程度。もちもちプルンとしておいしいものですが、自分で作ってみると手間も時間もかかり力も必要で、生麩の価格が高いのも納得できました。

私は、野菜の煮物などに具が寂しい時に、麩を入れたりもしますが、ハンバーグのお肉の量を控えめに麩を砕いて使ったり、パンプディングをつくる時にパンの代用、車麩を揚げてシナモンシュガーをかけておやつにしたりもします。

全国製麩工業会や話題の麩のサイトなど、いろいろなメディアで、麩の活用レシピが紹介されていますので、参考にしてぜひ楽しんでみてください。


参考/
  • 全国製麩工業会
  • 健康食品の安全性・有効性情報
  • コラーゲンの安全性と機能性(国立健康・栄養研究所)
  • 『日本農業新聞』(2014.11.22)
  • 『本朝食鑑1』平凡社
  • 『江戸時代食生活事典』雄山閣
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