法律用語の定義を正確に覚えるには
法律用語の定義を正確に覚えられないという相談もよく受けます。例えば、即時強制の定義を問われた際に、「直接」「財産」という言葉が抜けてしまい、「即時強制と呼ばれ、義務を命じる余裕がない場合に、直接身体若しくは財産に有形力を行使する。」という定義を書けないといったようなことです(平成23年度本試験 行政法記述式問題の正答例)。最大の原因は意味を考えないで、言葉をただ繰り返して覚えようとしているからです。法律用語は人間がつくったものですから、無駄な単語はありません。ひとつひとつに意味があります。それを細かく分けて、なぜこのような表現になっているかを考えていくことが有効です。特に、その法律用語に対立概念や類似概念などがある場合、定義に反映されていることが多いので、定義を見比べてみましょう。そうすると覚えやすくなります。
完璧主義はやめる
テキストには判決文の抜粋が掲載されていることが多いのですが、その判決文の意味が全部わからないと嫌という人がいます。こうなると非常に難しい法律用語まで覚えなくてはいけません。しかし行政書士試験の出題傾向を考えると、判例の出題は、まず判決の結論、次に判断基準、最後に理由や根拠です。つまり、必要とされる知識は判決文のごくごく一部なのです。それだけ押さえればいいのです。
また、法律用語が多すぎて正確に覚えられないとの相談もよく頂きます。
法律用語をどの程度の精密さで覚えるかは、科目によって異なります。簡単に分類すれば、行政法・民法とそれ以外(憲法・会社法)です。行政法と民法は記述式が出題され、文章を書かないといけないので、定義などは正確に覚えないといけません。
一方、憲法や会社法に関しては、択一式や多肢選択式(憲法のみ)で出題されるだけですから、行政法と民法ほど正確に覚える必要はありません。極論を言ってしまえば、憲法や会社法の法律用語は、ポイントさえ押さえれば、自分の言葉で置き換えてかまいません。択一対策ならばそれで十分です。