地震などの自然災害や戦災の被害を受けていない地域は、昔ながらの下町情緒を残していますが、その反面古い木造住宅が密集しており、防災性の向上が課題となっています。

大都市に広がる木密地(もくみつち)

古い木造家屋が建ち並ぶ地域を「木造住宅密集地域」「木密(もくみつ)地域」「木密」などと呼び、東京、大阪、神奈川、京都などの大都市に広がっています。全国の木密地については、国土交通省が調査、発表しています(報道発表はこちら)。

木密地域では入り組んだ細い道路の周りに古い木造の建物が集まり、公園などの空間も少なく、地震時の建物倒壊や火災発生時の延焼拡大などの危険性が高く、また非常時に緊急車両が到達できないという問題もあります。

木密地域は、東京では山手線の外周部にドーナツ状に広がり、大阪では鉄道沿線並びに大阪府北部や東部、泉州地域の北部などに分布、京都では戦災による被害が少なかった旧市街を中心に広がっています(【図1】)。

 

【図1】京都市内の密集市街地の分布状況(出典:歴史都市京都における密集市街地対策等の取り組み方針 平成24年7月京都市)

【図1】京都市内の密集市街地の分布状況(出典:歴史都市京都における密集市街地対策等の取り組み方針 平成24年7月京都市)

 

木密地で火災が起こると…

木造住宅密集地の火災でたくさんの消防車が集まった(写真はイメージ)

木造住宅密集地の火災でたくさんの消防車が集まった(写真はイメージ)

2014年10月に火災が発生した東京都台東区根岸5丁目も、このような木造住宅密集地です。木造2階建て店舗から出火し、隣の建物とあわせて2棟が全焼しました。

周辺は古い木造家屋が建ち並ぶ下町で、消防車の立ち入りが難しい細い道路も多く、消防車が50台以上出動して7時間をかけ消火しました。

木密地域での火災対策は出火防止と初期消火

それでは木造住宅密集地域に住んでいる、またはこれから住む予定の場合、どのような火災対策が有効なのでしょうか。

1)出火防止
出火防止のためにもコンロまわりの整理整頓を

出火防止のためにもコンロまわりの整理整頓を

木造住宅密集地域において有効な火災対策として、まずは「出火させない」ことがあります。そのために各家庭ですべき対策は、住宅用火災警報装置の設置、コンロ・ストーブなど火の元となる火気器具周辺の整理整頓、そして意外にも地震対策のイメージがある「家具の転倒・落下防止対策」も有効です。なぜかというと、地震時に火気器具周辺に落下物がありそこに着火するケースが多いこと、そして初期消火を行うための動線の確保のためです。

家具の転倒・落下防止対策は、地震時に命を守るためにも有効ですので、地震時と火災時のダブルで活きる対策ということになります。今一度、室内の家具転倒・落下防止対策ができているか、総点検をしてみてください。

2)初期消火
出火防止の次の対策としては、火災の早期発見と初期段階で確実に消火することが大切です。そのために、火災を発見したら近隣で力を合わせて集中的に消火活動を行う必要があります。日ごろから近隣の消火器などの設置場所を認識しておき、地域で初期消火訓練などを行っておく必要があります。

次のページで火災危険度マップの実例を取り上げます。