ハモンとは?
「ハモン」とは豚の前足、後ろ足の燻製のこと。イタリアではプロシュートと呼ばれます。スペイン産の生ハム「ハモン」は、現地では噛み締めて食べるようないかにも「肉」といったものが典型的。透き通って向こうが見えるようなペラペラの「ハモン」はありません。パンに挟んでボカディーリョというサンドイッチにしたり、薄く切ったパンやスナックなどと一緒に前菜として食べます。またレストランの夏のメニューでメロンの上に生ハムを乗せた「メロン・コン・ハモン」も定番です。イベリコ豚とは?
スペイン産の豚肉は全てイベリコ豚というわけではありません。イベリコ豚は貴重な黒豚品種で、大半は白豚品種です。また、75パーセントイベリコ豚など他の品種と混ざっているものもあります。このイベリコという黒豚品種で作られた生ハムを「ハモン・イベリコ」と言い、白豚のものを「ハモン・セラーノ」または「ハモン・デ・パイス」と呼びます。スペインで生産、消費される大半の生ハムは、後者。イベリコ豚で作った生ハムのなかでも一定期間放牧でどんぐりを食べて育った豚のものを「ハモン・イベリコ・デ・べリョータ」と言い、最高品質の生ハムと認識されています。4つの政府認定生産地
「ハモン・イベリコ・デ・べリョータ」が生産されているのは、政府の生産地呼称を認定した4つの地方のみ。生産地呼称をD.O(デー・オー)と呼びます。D.O Jamón de Guijuelo, D.O Dehesa de Extremadura, D.O Los Pedroches, D.O Jamón de Huelvaの4つです。D.O Jamón de Guijueloは、ポルトガル寄りのスペイン中央部、サラマンカ地方のもの。「ハモン・イベリコ・デ・べリョータ」の70%がこれにあたります。塩気が少なく風味も穏やかで食べやすいのが特徴です。D.O Dehesa de Extremaduraは西よりのスペイン中央部。前述のGuijueloより南に下った地方。ここの生ハムは若干塩分が多く、風味もしっかりめ。Los Pedrochesは、アンダルシア地方コルドバ付近のものでやや甘みがありフルーティーな不思議な風味が特徴です。最後のD.O Jamón de Huelvaはハブーゴという村で有名な南スペインの地方。4つのなかで最も風味が強く、脂もたっぷリ乗っているのが特徴となっています。
4つのD.Oのなかではどれが最も素晴らしいかは、それぞれの好みによります。是非旅行で訪れた際に食べ比べてみてください。
前足と後ろ足
ハモン、ハモンと書いていますが、ハモンとは豚の足の燻製の総称であると同時に豚の後ろ足の部分も指します。前足はパレタと言います。後ろ足は前足に比べて大きく、脂肪も多いので、一般に後ろ足のほうがカテゴリー的に重視されます。ハモン・イベリコ・デ・べリョータができるまで
生まれた子豚は数週間母豚のミルクを飲んで育ちます。その後ビタミン入りの雑穀などのエサを与えられ、その後平地に放牧して草などを食べます。徐々に体も大きくなり、体力もついたところで山へのぼって行きどんぐりなどを食べて、1年で約100キロまでに。そうして育った豚の足は体重と同じ重量の塩に漬けて6~9ヶ月吊るして乾燥させます。「ハモン・イベリコ・デ・べリョータ」の場合は、その後3年熟成させてから出荷されます。生ハムのいろいろ、お分かりいただけましたか?スペイン中のおいしいものが集まるバルセロナで、お気に入りの生ハムを見つけてください。