おにぎり好きが高収入ということから学べるのは何?
株式会社浜乙女さんによる「おにぎりに関するアンケート」という、非常におもしろい調査があります。インターネットで全国の10代~60代以上の男女に対して行われたもので、有効回答数が14781票とのこと。
プレスリリースの調査結果を見てみると、3から7までは確かにそうですよね。
私もコンビニエンスストア本部で約5年間働いたことがあり、店頭での接客やPOSデータの分析をしていましたので、頷けるところです。
興味深いのは、1の「世帯年収が高くなるほど、おにぎりへの好意度が高まる」と2の「世帯年収が高い家庭は、手作りのおにぎりを食べる」という結果。
しかし、だからといって「じゃ、うちも手作りおにぎりを食べよう!」というのはちょっと早計というもの。調査結果は事実だとしても、そこに因果関係があるとは限らないからです。こんな小話があります。
ある学者が、テーブルの上に置いたクモに向かって、「走れ!」と叫んだら、クモは走りだしました。
次に学者はクモの脚を折り「走れ!」と叫びましたが、クモはピクリとも動きません。そこでこの学者は「クモの耳は脚についている」と結論づけました。
もうひとつ。街の住民10万人全員に対して、数学力の試験を行い、同時に全員の脚の長さも測りました。その結果、数学力と脚の長さには強い相関があることがわかったそうです。これはどういうことでしょうか。
そう、住民全員に対してですから、赤ちゃんや子供も入っています。小さな子供は大人よりも数学力は劣るでしょう。でも、調査結果そのものはウソではない。
次に実際の事例を見てみましょう。
「離婚件数は3組に一件。厚生労働省が集計した平成18年人口動態統計の年間推計では、婚姻件数は73万2000組、離婚件数は25万8000組にのぼり、実に3組に1件が離婚していることになる。」
というニュースがありました。
でもよく考えてみると、違和感がないでしょうか。3組に一人ということは、もし職場に30人いれば、そのうちの10人が離婚している計算になります。
この場合、計算根拠が間違っていることに気がついたでしょうか。その年に結婚したカップルを分母に置き、その年内に同じカップルが離婚したのであれば正しい数字ですが、そうではない。本来は日本全体の既存婚姻者数を分母に置かなければならないはずです。
数字は事実ですが、その解釈は人によって異なります。また、統計数字は分母と分子に何を置く日によっては、正しく現実を反映しないこともあります。誤った解釈からは誤った結果を生んでしまいますから、注意が必要です。単に数字を見る、覚えるよりも、その数字から何が言えるのかをつねに考える姿勢が大切です。
翻って冒頭の調査に戻り、「おにぎりと世帯年収」の関係について、私の結論は「たまたま」です。「相関関係」はあっても、だからといって「因果関係」があるとする根拠は見つけられませんでした。
とはいえ、おにぎりに使われる「海苔」はとても健康によい食品です。
「海苔JAPAN」
健康を維持できれば、医療費も削減できるし、コンディション良く働ける時間を伸ばすことができます。それはつまり、可処分所得を増やせるということ。
年収に関係なく、積極的に食べたい食品ですね。
※私が気づいていない視点があるかもしれませんので、もしおにぎりと年収を結びつける別の解釈がありましたら、ぜひお知らせください。