収納の基本は「使う場所に収納する」こと
快適で使い勝手のよい住まいを実現するためには、収納計画は重要なポイントのひとつです。収納プランの基本は、「使う場所に、出しやすく、しまいやすく、収納する」こと。それぞれ豊富な収納スペースを確保できるのが理想ですが、限られた空間では難しい場合もあるでしょう。しかし、作り方を工夫することで、使い勝手のいい収納となるケースもみられます。トイレの収納商品にも壁に埋め込むタイプが多くみられる。カウンターや手すりも組み合わせることも可能。[ INAX 埋込収納棚] LIXIL
壁の厚みを利用して収納スペースを確保
収納スペースを確保するには、さまざまな方法がありますが、空間を狭めることなく確保できる方法のひとつとして、壁厚収納(壁埋め込み収納)が挙げられます。デットスペースを有効利用できること、奥行が浅いので出し入れしやすく小物などの収納に適していること、飾り棚などとして空間の演出することができること、などがメリットでしょう。ただし、建物の構造や工法などによって、設置できない場所もあるので、プランニングの際には、事前に設計担当者に確認することもが大切です。
実用的な収納とするか空間演出とするか
棚材の色によってもイメージは変わるもの。床や壁とのコーディネートに配慮してプランニングを。[壁厚収納 カベピタ 書棚] DAIKEN
壁厚収納であれば、飾り棚などの見せる収納とするケースと、厚みに適したモノを入れる実用的な収納とするケースがあるでしょう。見せる収納の場合は、棚にガラスを用いたり、演出効果のある照明を組み込んでもいいですし、実用的な収納とするならば、移動可能な棚やフック、落下を防ぐバー、使い勝手に合わせた扉などを設ける方法も考えられます。
壁の厚みを利用したアイデア&プラン
壁厚を利用した収納スペースは、造作でオリジナルなスペースをつくることももちろん可能ですし、建材メーカーなどから提案されている、収納するモノや場所に合わせた商品を取り入れてもいいでしょう。玄関の正面や廊下などにアクセントとして設けても。照明で演出効果を高めて。[壁厚収納 カベピタ ニッチ] DAIKEN
家族はもちろん、お客様を迎える玄関ホールなどには、演出を兼ねた壁厚収納を設けるのもいいでしょう。玄関扉を開けた時に正面になる壁などに設置し、季節のモノや趣味のモノを飾ることで、空間の印象も変わるものです。また、階段や踊り場などにも、飾り棚があると空間のアクセントにもなるでしょう。
小物などを飾るために壁の一部を凹ませたニッチと呼ばれるものも、壁厚を利用したプランのひとつ。ダウンライトなど照明を組み込むなどの工夫も考えられます。
■玄関まわりにスリッパや小物を
壁の厚みは、スリッパや小物の収納としても適しています。玄関まわりに設けておくと使い勝手もいいでしょう。設置位置や大きさなどにもよりますが、収納扉を鏡としておくと、姿見として使うことも可能。メーカー商品には、ユニット内部に、収納しやすいようなラックなどが設けたもの、収納扉に鏡を選ぶことができるタイプも揃っています。
収納スペースとは少し異なりますが、補助椅子(ベンチ)を壁内に格納することができる商品もみられます。玄関で靴を履く際に使用できるので、ご家族に高齢の方がいらっしゃる場合など、玄関まわりに検討してもいいでしょう。
■電話やファックスの定位置に
カウンターを設けることで、電話&ファックスを置くことができる。コルクボードの壁面には、メモなどを貼ることも。上部の扉の中も収納スペースを確保。[壁厚収納 カベピタ 電話台] DAIKEN
■本棚やDVD棚を廊下や間仕切壁を利用して
壁厚を利用した実用的な収納として多くみられるのが、本やDVDなどの収納でしょう。部屋の壁だけでなく、階段の手すり壁や廊下の間仕切壁、対面キッチンのカウンター部分(ダイニング側)などを利用したプランニングもみられます。寝室や子供室などプライベート空間近くに設ければ、家族の図書コーナーとしても活躍するでしょう。
■テレビまわりのアイテムの収納も
最近では、薄型テレビを壁面に設置するケースも多くみられるようになりました。コード類など壁厚を利用して収納すれば、空間もすっきりします。
■ドアホンや給湯器などのコントロール機器を納めて
最近の住まいには、設備機器や建材を操作し、確認するスイッチやリモコンを設置する必要があります。通常、室内の壁面に取り付けるものですが、テレビ機能付きドアホンや給湯機などのリモコンは、思いのほか存在感があり、空間の邪魔になってしまう場合も。それらを壁の厚みを利用して設置すれば、目立たず、すっきりと納めることが可能です。扉をつけて、壁と一体化するのもいいでしょう。
■トイレや洗面など、限られた空間に
ゆとりのあるスペースを確保しにくいトイレや洗面室などにも壁厚収納は適しています。トイレであれば、トイレットペーパーやタオル、掃除用具などを入れておくと便利ですし、洗面室では、歯磨きや洗顔石鹸など、使用する頻度が高いものを収納すると使い勝手もいいでしょう。また、システムバスの商品には、浴室への扉と収納を兼ねた提案などもみられます。
浴室で使用する細かなモノを収納することができるシステムバスのオプションアイテム。ドアと収納を一体化したもの。[INAX アライズ 間仕切りユニットトール収納タイプ] LIXIL
細かなアイテムが多いキッチンにも、壁厚を利用した収納は向いています。調理作業をするカウンター近くに、調味料などを収納すれば使い勝手もいいでしょう。対面キッチンのカウンターの間仕切壁などを利用しても。ダイニング側に設ければ、料理本や日々使用するカップなどを収納するスペースも生まれます。
やみくもに確保するのではなく、目的を明確にして
壁厚収納はやみくもに確保すればいいというものではありません。すっきりと収まれば美しく、使い勝手のいい収納ですが、収納するものや扉の用い方によっては、空間が雑然としてしまうことも。壁厚収納を検討する際には、住まい全体の収納計画と同時にプランニングすることが基本。空間に適したモノ、生活スタイルや持ちモノを把握した上で取り入れるようにしましょう。【関連記事】
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