ロフトや小屋裏に設ける「可動式のはしご」
新築やリフォームのプランには、小屋裏やロフトを取り入れたケースも多くみられます。小屋裏とは、屋根のすぐ下の部屋の天井から屋根との間にできた空間のことで、一般的な住宅であれば、2階の天井と屋根との間の比較的閉鎖的な空間を指します。ロフトも小屋裏空間のひとつですが、すぐ下の部屋に開放された部分を持つスペース(部屋の一部を二層にするような上部空間)のことを呼ぶことが多いようです。
いずれも収納とする場合、建築基準法では「小屋裏物置等」となり、天井高や面積が定められています。上り下りに関しても自治体などによって、通常の階段のような「固定階段」が可能な場合と、「可動式のはしご」と指導するところがあるので、プランニングの際には、事前に確認することが大切でしょう。
可動式のはしごには2種類のタイプがある
この「可動式のはしご」と呼ばれるものには、主にロフトに用いられる「はしご(タラップ)タイプ」と、小屋裏に設置される「収納(折り畳み・スライド)タイプ」があります。 <はしご(タラップ)タイプ>
手摺や滑り止めを備えたアルミ製のロフトタラップ。不要な時は側面の格納用パイプに掛け
ておくことができる。はしごとパイプを連結するベルトを付けることも可能。はしごの移動
の際の本体の転倒を防ぐ。 [手摺付アルミ製ロフトタラップ] DAIKEN
はしご(タラップ)タイプ ロフトに設置するケースが多い
ロフトに設置されるケースが多くみられるのが、はしご(タラップ)タイプ。空間やインテリアデザインに合わせ、オリジナルで造作するケースもありますが、建材メーカーからもいくつかの商品が提案されています。■主な素材
はしごタイプの主な素材は、木製やアルミ、スチール製など。ロフトの高さによって、いくつかのサイズも揃っているので、プランに合わせて選ぶことができるでしょう。
■設置方法
商品などによって異なりますが、多くみられるのは、ロフトの端の部分に設けたバー(パイプ)などに掛けて使用するスタイル。スペースを有効に使えるように、使用しない時は、近くの壁面に設けたバー(パイプ)などに掛けておくことができるタイプも。また、垂直方向に上にずらすことによって、斜めにならず、すっきりと収納できる商品などもみられます。
■プランニングの注意点
・動線や家具のレイアウト
間取りプランにもよりますが、はしごを設置する位置は、ロフト下部の部屋の使い勝手に合わせ、動線や家具の邪魔にならないように設けるようにしましょう。
・踏み板の形状、滑り止め
建材商品のはしごを選ぶ際には、踏み板の形状や滑り止めの有無、手摺の持ちやすさ、倒れ防止策が施されているかもチェックを。ベルトなどでつなげ、倒れることを防ぐ商品もみられます。使い方にもよりますが、日常的に設置したり取り外ししたりが簡単にできる重量か、使用する人が持ちやすいか、なども確認しておきたいポイントです。
・子供部屋は特に安全面に配慮を
デザイン性ももちろんですが、子供部屋などに用いる場合は、安全面に充分な配慮を。モノを持って上り下りすることを考慮して選ぶことが大切です。蓄光材によって、夜間でも踏板が見やすいものなどもでています。
・ロフトに設ける柵も検討を
その他、ロフトの端に設ける柵やフェンスなどと、コーディネートできるはしごの提案もみられます。
・施主支給ではサイズや設置方法をチェック
ネットショップなどで購入できるものもありますが、施主支給をする場合は、サイズや設置方法、特に安全面など、事前に施工会社との十分な確認を忘れずに行うようにしましょう。
収納式(折り畳み・スライド)タイプ 小屋裏収納に設けられる
<収納(折り畳み・スライド)タイプ>
折りたたんで屋根裏に収納し、必要な時だけ引き降ろして使用できる。荷物を持っていても
邪魔になりにくい片手摺は左右どちらでも設置可能。 [スライドタラップ] DAIKEN
小屋裏の場合は、収納式のタイプが多く用いられます。建材メーカーの商品としては、天井にハッチ(蓋・カバー)を設け、はしごを折りたたんで小屋裏に収納するものがあり、必要な時だけ専用の開閉棒などを用いて、はしごを下へ引き出して使用するタイプです。
■素材・サイズ
素材は、木製やアルミなど。天井の高さなどに合わせたサイズがいくつか揃っているので、空間に合わせて選ぶことが大切でしょう。収納されているので、普段は場所を取らず、省スペースなことが特徴。天井のハッチ部分は、天井仕上げ材(ビニールクロスなど)の素材で仕上げることが可能です。
■プランニングの注意点
収納式タイプをプランニングする際に注意したいのは、引きおろしやすく、安全に上り下りできる場所に設置すること。間取りを確認する際には、設置位置と階段を引き下ろす方向に注意することが大切です。
設けられる場所としては、2階の廊下や子供室、寝室などが多いようですが、たとえば、2階の廊下の場合、通常の階段の位置との関係に十分に配慮を。はしごを引き下ろすスペースに、ゆとりがあるかどうかはもちろん、はしごを降りてすぐに階段がある場合などは、危険が伴うので注意が必要です。また、子供室や寝室などに設ける場合は、机やベッドなど置家具のレイアウトを考慮してプランニングするようにしましょう。
■商品選びのポイント
商品を選ぶ際には、踏み板の滑り止めの有無や手摺の形状などの確認を。また、はしごの下端に床材を傷つけにくい工夫が施されているか、操作する際の使い勝手の良し悪しなども確かめて。その他、天井のハッチの開口部からの転落、踏み外しの防止のために、小屋裏内には、フェンスを設けるなどの対策も考えておきたいものです。
可動はしごは、間取りプランと同時に検討を
はしごタイプも収納式タイプも、取り入れる際には、間取りのプランニングと同時に検討すること。特に収納式タイプの場合は、居室の使い勝手に影響しないよう、早めに相談することが大切でしょう。使い勝手やデザインなどは、建材メーカーのショールームを利用して(展示の有無は事前に確認を)。モデルハウスや分譲住宅などに設置されているケースもあるので、参考にしてもいいでしょう。プランや広さにもよりますが、ロフトや小屋裏は、収納スペースとして活用でき、空間的にも広がりが生まれることもあり人気のスペース。しかし、日々の使い勝手がよくなければ、有効活用できない場合もあるもの。安全で上り下りしやすい、はしごを設けておくことは、空間を生かすためにも大切なポイントのひとつです。
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