パパとママの夫婦喧嘩で子供の心はどんな影響を受けるのか?
夫婦喧嘩はあって当然。でも子供への影響も気になる……。
どこのご家庭でも、たまには勃発するであろう夫婦喧嘩。夫婦喧嘩は犬も食わないけれど、喧嘩するほど仲がいいらしい……。では、子供に与える心理的な影響はどうなのでしょうか?
夫婦喧嘩の頻度ってどれくらい?
2008年に結婚情報センター「Nozze」が行った調査によると、夫婦喧嘩の頻度は、月に1~2回が27.0%ともっとも多いのだそうです。続いて、年1~2回(25.3%)、数年に1度(19.2%)、週1~2回(16.2%)。ここに約9割近い夫婦が含まれます(*1)。つまり、全く喧嘩をしないと答えた1割の夫婦以外は、多かれ少なかれ夫婦喧嘩をしているということ。あるのが当然、と言われるのも納得です。
夫婦2人で喧嘩をしている分には、周囲に火の粉がおよぶことはありませんが、子供がいる家庭では、そうも言っていられません。子供への影響も心配です。最近のアメリカの調査によると、親の喧嘩を頻繁に見て育った子供は、のちに悪影響が出やすいのだそうです。どのような影響なのか、そのデータを見ていきましょう。
夫婦喧嘩が子供の感情に与える影響とは?
この調査では、1000人以上の子供を対象に、0~5歳までの5年間、追跡調査を実施(*2)。その子の情緒、家庭の状況などを含む様々なデータを収集しました。それにより見えてきたのが、- 両親が暴力的な喧嘩をするのを見て育った子は、感情を読む能力に欠ける傾向があった
- 両親が激しい口論をする姿を見て育った子は、感情を読みすぎる傾向があった
- 長期間、両親の喧嘩を見てきた子は、自分の感情(寂しい、怖いなど)をコントロールする能力に欠ける傾向があった
子供がいる家庭の夫婦喧嘩の対処法
しかし、夫婦といえど、違う意見を持った者同士。時に意見が合わないこともあるものです。逆にその違いを、見て見ぬふりをしたり、無理に飲み込んだりすれば、徐々に心にわだかまりができていきます。飲み込みもせず、感情的にぶつけもせず、どのように解消していくのが望ましいのでしょうか。■まずは見せない努力をする
喧嘩は計画的にするものではありません。あるきっかけで突然発生します。なので、たまたま、子供の前で勃発ということもありうるのです。だからと言って、子供の前でそのまま喧嘩を続けるのを認めてしまうわけにいかないのは、今回のデータでも明らかです。厳密に言えば、勃発部分でもNGですが、それは予期せぬ出来事でもあるので、その後をどうするかが肝心です。
今回お伝えしているような情報を夫婦間でシェアするのもおすすめです。お互いに対しては我慢できなくとも、「我が子のため」と思えば、気持ちを抑えやすいのではないでしょうか? いったん時間を置くことで、冷静になれる効果も期待できます。
■できればスマートに喧嘩をする
一番いいのは、スマートに喧嘩をすることです。辞書では、喧嘩を「言い合ったり殴り合ったりして争うこと」と定義していることを踏まえると、「スマートに喧嘩」というのは正しい表現ではないかもしれません。ここで意味しているのは、とげのある言い回しや、叩く、殴るなどの荒々しさが全くないもの。感情的ではなく、論理的に話し合う場のことです。
冷静に話し合って、解決策を見つける場であれば、子供に見せても大丈夫。要は、アグレッシブな態度を見せるのがNGなのです。
夫婦喧嘩が発信する裏メッセージに注意!
では、子育て心理学的に見て、なぜ荒々しい喧嘩はNGで、スマートな喧嘩はOKなのでしょう?育児で気をつけなくてはいけないものに、親が発する「裏メッセージ」があります(詳しくは下記リンク参照)。これは、親の態度、ふるまい、言動が、実際に、子供にはどう届いているかを指します。具体例で解説しましょう。
■言い争う夫婦喧嘩の裏メッセージ
喧嘩の渦中にいると気づきませんが、パパとママの激しい喧嘩は、子供にはこう届きます。
「困ったときは、パパとママみたいに、怒鳴ったり、叩いたりして解決すればいいんだ」
そして子供は、それを自分が困ったときの解決法として、真似するようになり、友達との喧嘩で怒鳴ったり、叩いたりするようになっていきます。
■スマートな喧嘩の裏メッセージ
スマートな喧嘩だと、落ち着いて話し合う場を見せているので、裏メッセージ的にも◎です。子供にはこう届きます。
「困ったときは、パパとママみたいに、ちゃんと話し合って解決すればいいんだ」
問題にぶち当たらない子はいないので、その子にとっても、いいお手本になるのです。
要は、喧嘩もやり方次第。子供に見せられる形で問題を解決していけると、夫婦にとっても子供にとってもメリットが生まれます。
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出典:
*1:結婚情報センター「夫婦喧嘩と仲直り」に関するアンケート調査より
*2:Development and Psychopathology(2014)「Poverty, household chaos, and interparental aggression predict children's ability to recognize and modulate negative emotions.」