エスクァイアは「ひとつ上を目指す男たち」がターゲット
CMキャラクターに起用したバットマンと、発表会のトークショーに登場した吉川晃司氏。バットマンは「ひとつ上」を目指す男たちを鼓舞する存在として、起用されたという。吉川晃司氏も似たような意味合いでトークショーに登壇したが、30代だけでなく、40代や50代をメインターゲットに据えるトヨタの新型「ESQUIRE(エスクァイア)」は、簡単にいってしまえば、ヴォクシー/ノアの兄弟車で「兄貴分」。
クラウンを彷彿とさせる大型グリルは、バンパー下側まで大きな「T字型」になっていて、メッキの縁取りが押し出しの強さを感じさせるなど、ひと目で上級指向なのが分かるが、中身はヴォクシー/ノアそのもので、内・外装に専用デザインや豪華装備を与えたのが、この「ESQUIRE(エスクァイア)」という新型ミニバンの正体だ。
販売店からの要望で登場か?
ヴォクシー/ノアは、アクア、プリウスに次ぐ「トヨタ」ブランドの稼ぎ頭で、ヴォクシーはネッツ店、ノアはカローラ店が扱っている。トヨタ店の「売れて利幅の大きいミニバン」はエスティマ/エスティマハイブリッドくらいで、アルファードはトヨペット店、ヴェルファイアはネッツ店が販売している。
今回の「エスクァイア」は、トヨタ店とトヨペット店での取り扱いで、いままでのヴォクシー/ノアになかった上級指向の兄弟車として初登場したのは、トヨタ店とトヨペット店の販売店からの要望に応えたのでは? という想像をしてしまう。
買う側からすると、ヴォクシー/ノアと室内の広さやシートアレンジ、荷室の使い勝手だけでなく、パワートレーンやシャーシ(サスペンションの設定からタイヤの銘柄まで)同じだから、ヴォクシー/ノアで十分という判断は妥当だ。
しかし、ヴォクシー/ノアの主査も務めている水潤チーフエンジニアが「5ナンバーコンパクトミニバン(トヨタはコンパクトキャブワゴンと呼ぶ)は使い勝手最優先で、クオリティやこだわりは重視されてこなかった」という主旨の発言をプレス発表会でしていたが、確かにそのとおりだと思う。
もちろん、ヴォクシー/ノアにもエアロ系グレードはあるし、日産セレナの一番人気は「ハイウェイスター」だ。だが、上質感を内・外装ともに徹底追求していくと、子育て層がメインユーザーだけに、価格的に手が届かなくなってしまう。
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