「球際に強い」という意味
球際の強さについて考える。
「球際に強いプレー」と聞くと、すぐに思い浮かぶのは守備の局面だろうか。相手のシュートをスライディングでブロックしたり、マークする選手にガツガツと身体をぶつけたりするプレーが連想される。センターバックや守備的なミッドフィールダーの形容詞として使われることが、圧倒的に多い。
実は攻撃の局面でも、「球際の強さ」は問われる。
激しい競り合いを演じても、バランスを崩さずにシュートへ持ち込む。バランスを崩しても、食らいつくようにボールに触る。そうしたプレーが連想されるかもしれないが、フィジカルコンタクトのない局面でも「球際の強さ」は求められるのだ。
たとえば、タッチライン際からドリブルで仕掛け、相手を抜き切らないうちにクロスを供給する。ゴール前の狭いスペースで、相手の股間を抜いてシュートを放つ。そういったプレーもまた、「球際の強さ」が発揮されたものだ。身体的な接触がなかったとしても、ボールを奪い合う攻防に変わりはないからである。
メッシの球際の強さは、観察力の賜物
分かりやすいのはリオネル・メッシだろう。スペインの超名門FCバルセロナに在籍するこの27歳は、圧倒的なまでのスピードと技術を持つ。そのうえで彼は、球際に強いのである。ポイントは「観察力」だ。
スライディングやシュートブロックは、守備側の選手にとって最終的な手段である。身体をピッチに投げ出したり、大きく足を開いたりすると、次のアクションへ移るまでに時間がかかってしまうからだ。スライディングなどのプレーを選んだ以上は、必ず相手を止めなければならない。
その最終手段へ相手を追い込むのが、メッシは抜群にうまい。いまこの瞬間に何をしたら反応するのかを計算して、彼は守備側の選手を自分の得意な形へ誘い込むのだ。
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