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ドラマのタイトルを5つのパターンに分類してみる

ドラマの数だけタイトルがあります。グッとくるタイトルもあれば、気になる作品なのに、タイトルには気合いが入っていないのかと心配になることもあります。ドラマのタイトルを分類すると、興味深い世界が広がります。

竹本 道子

執筆者:竹本 道子

ドラマガイド

レコード(今はCDですが)で”ジャケ買い”するように、ドラマを”タイトル見”することがあります。「気になる」と思うこともあれば「そう来たか」と唸ることもあり、タイトルはなかなか多彩で奥深いもの。そこにはいくつかの傾向も見えて、ちょっと愉快にも感じます。

 

パターン1:主人公の気持ちや心の声をタイトルにする

 
タイトル

名作『俺の話は長い』は、そのあと「問題でも?」と聞こえてきそう
画像はAmazonより

主人公の想いや気持ちがタイトルになったドラマは、個性的なタイトルが多いようです。

1: 俺の気持ちがガツンとわかると、なんだか身近に感じてしまう俺ドラマ
大ヒットした『今日から俺は!!』(2018年 /日本テレビ系)は主人公の決意を感じつつ、ちょっとクスっとできるタイトル。『俺のスカート、どこ行った?』(2019年/日本テレビ系)や『俺の話は長い』(2019年/日本テレビ系)も、肩のチカラが抜けた主人公の心が垣間見える楽しいタイトルとなっていて「観たい!」の気持ちが高まります。

2: 教訓やウンチクをタイトルにした嫁姑ドラマ
『渡る世間は鬼ばかり』(1990年~2011年/TBS系)は、嫁姑問題といった世知辛さを背景に家族が成長していく様子を描いています。タイトルで人生の辛口度合をピシッと伝え、毎日起こるゴタゴタに「わかるわかる」と視聴者を共感させました。キャリアウーマンの主人公が姑に苦戦するドラマ 『地獄の沙汰もヨメ次第』(2007年/ TBS系)は、タイトル前半の重さと後半のライトなかんじがユーモラスです。『エラいところに嫁いでしまった!』(2007年/テレビ朝日系)は、ずぼらな嫁が「しきたり」を重んじる屋敷に嫁ぎ波乱となる物語。タイトルから主人公の気持ちや物語が察知できるタイトルです。

3: ストレートな気持ちをそのままタイトルにした恋愛ドラマ
登場人物の気持ちを そのままタイトルにすると、視聴者は共感よりも「何があったの?」と興味の方が先立つもの。『愛しすぎなくてよかった』(1998年/テレビ朝日系列)は、観る前に後悔の念を提示され、なんだか切ない気持ちになります。『恋がしたい 恋がしたい 恋がしたい』(2001年/TBS系列)もストレートな想いが伝わってきますが、「昨日、“恋がしたい 恋がしたい 恋がしたい”見た?」と言いにくかったことを覚えています。どちらも、俳優陣の演技力が光る人気ドラマでした。

 

パターン2:好奇心を揺さぶる数字をタイトルにする

 
 
タイトル

続編も大人気となった日曜劇場の『99.9-刑事専門弁護士-』

画像はAmazonより


タイトルに数字が入っていると、その意味が気になったり、数字の持つイメージから想像を膨らませたりするものです。視聴者の好奇心を刺激するタイトルと言えそうです。

1: ミステリアスな数字に翻弄される謎解きドラマ
『99.9-刑事専門弁護士ー』(2016年/TBS系)は”不可能に挑戦する”強い気持ちが伝わってくるタイトル。コミカルと骨太が絡んだ見ごたえあるドラマです。『33分探偵』(2008年 /フジテレビ系列)は、犯人がわかっていながら、放送時間(CMを除く)33分をつなぐため、わざと捜査に時間をかける深夜枠ならではのユーモアあふれるドラマ。わかっていながら、ついつい最後まで見てしまう緩さが心地よい作品でした。『11人もいる!』(2011年/テレビ朝日系列)は萩尾望都のマンガ『11人いる!』のパロディですが、”も”が増えただけで事態の深刻さを感じるから不思議です。

2: 数字の持つイメージに心がざわつく恋愛ドラマ
『29歳のクリスマス』(1994年/フジテレビ系)は、29歳の響きがどこか切なく、タイトルに胸がキュンとなりました。女優とそのボディーガードの99日間(ボディーガードの契約日数)を描いた『僕とスターの99日』(2011年/フジテレビ)”恋の期限”を数字で示すことで、ドキドキ度が増すタイトルです。『101回目のプロポーズ』(1991年 フジテレビ/主演 浅野温子・武田鉄矢)は100を超えての「あきらめない」気持ちを象徴したタイトルで心に強く響きます。

数字は29歳、99日、101回目とキリがよくない方が”計算通り”を意味せず、タイトルにはもってこいのようです。

 

パターン3:主人公の名前をタイトルにする

 
タイトル

日本中の話題をさらった『半沢直樹』

画像はAmazonより


主人公の名前がそのままタイトルになったドラマも多いもの。名前そのものに

1:胸が熱くなる、先生の名前ドラマ
かつて『中学生日記』(1972年~2012年/NHK)や『われら青春』(1974年/日本テレビ系)などが大人気だった学園ドラマは、社会問題を定義した『3年B組金八先生』(1979年~2011年 /TBS系列)以降、『○○先生』のタイトルも定着し『さよなら小津先生』(2001年/フジテレビ系列)や 『鈴木先生』(2011年/テレビ東京系)などの名作が生まれています。先生にはノスタルジックな印象があり、タイトルだけで胸がギュッと締め付けられます。

2:主人公の生き方が映る、名前だけドラマ
2013年日本中を沸かせた『半沢直樹』(2013年/TBS系列)は2020年の続編も大人気。シンプルな4文字の漢字が実直な主人公とよくマッチしているのでしょう。『古畑任三郎』(1994年~2008年/フジテレビ系)は漢字5文字、任三郎の響きに主人公のぶれない生き方を感じます。

3:主人公の名前に”らしさ”を加えて華を添える、名前+αタイトル
また、主人公の名前を入れて短い文章にした氏名タイトルにも巧さを感じます。『花咲舞が黙ってない』(2014年/日本テレビ系)の原作は『不祥事』『銀行総務特命』ですが、新たにつけられたドラマのタイトルは、まっすぐな主人公を生き生きと表現した名タイトル。『白鳥麗子でございます!』(1993年/フジテレビ系)は、原作の漫画のタイトルそのまま。高貴な空気を漂わせつつユーモラスな匂いを感じる「ございます」がおみごとです。『勇者ヨシヒコ』シリーズ(2011年~/テレビ東京系)もカタカナ名前に勇者がつくことで冒険ドラマなのに笑いがこぼれるタイトルです。


 

パターン4:みんなが知っている地名をタイトルにする、地名ドラマ

 
タイトル

タラレバに共感しながらクスクス笑った『東京タラレバ娘』
画像はAmazonより


タイトルに地名が入っていると、その土地のイメージからドラマの世界がさらに広がります。

1:物語を古都のイメージで豊かにする、京都ドラマ
『京、ふたり』
(1990年/NHK)、『京都地検の女』(2003年~ /テレビ朝日系)など京都がタイトルとなったドラマもたくさんあります。古都・京都が舞台となれば京都の風景が楽しめる。それだけで気持ちも高まるものですが、『京都妖怪地図』(1980年~1997年/テレビ朝日系 ※土曜ワイド劇場内でのシリーズ)のインパクトはなかなかです。百鬼夜行の一条通や陰陽師のイメージから京都が妖怪の地として定着していることで 成功したタイトルと言えるでしょう。

2:夢追いびとが集う街、東京ドラマ
東京タラレバ娘』(2017年/日本テレビ系)は映画『銀座カンカン娘』(1949年)のタイトルを想いだす作品。東京の自由で明るい風を感じながら、昭和のタイトルの気持ちよさを感じます。『グランメゾン★東京』(2019年/TBS系)や『東京バンドワゴン』(2013年/日本テレビ系)も、東京が生き生きと感じられるタイトル。洗練された都会を堪能できる作品と人情豊かな下町を描いた作品と、表情豊かな東京をそれぞれで楽しめます。

3:街の匂いを感じる、街名ドラマ
『池袋ウエストゲートパーク』(200年/TBS系)は池袋の雑多な雰囲気が生かされたタイトル。ドラマを機に名所となったところもあります。『木更津キャッツアイ』(2002年/TBS系列)は、木更津の青い空に物語のハツラツした雰囲気がよくマッチした気持ちのいいタイトルです。どちらもタイトルを聞いただけで、街の風景が広がる素敵な作品です。

 

パターン5:感嘆符(!)に入魂される、カタカナタイトル

 
タイトル

女性2人の力強さを感じる『カバチタレ!』
画像はAmazonより


カタカナタイトルには、感嘆符(!)が付くケースが多いようです。

『チャンス!』(1993年/フジテレビ系)、『スクール!!』(2011年/フジテレビ系)、『カバチタレ!』(2001年/フジテレビ系)、ガチバカ!』(2006年/TBS系列)、『スタイル!』(2000年/テレビ朝日系)など、感嘆符は大人気です。

なぜ感嘆符なのでしょう。 サラリーマンから民間校長となる『スクール!!』、 元ボクサーから高校教師となる『ガチバカ!』、ウェイトレスが行政書士事務所で開花する『カバチタレ!』、女性ばかりの部署に配属され戸惑うエリート『スタイル!』など、主人公が新天地で奮闘する姿を描くドラマは感嘆符でガンバリを表現しているようです。さすがに硬派で社会派のハゲタカ』は『ハゲタカ!』とはなりません。
 

番外編:「大丈夫かな」と心配になるタイトルと「ステキ!」と思えるタイトルと


タイトルの世界はまだまだいろいろ。『OL銭道』(2003年/テレビ朝日系)は、貯金が好きで無駄遣いが嫌いなOLのドラマ。『明るい家族計画』(1995年/フジテレビ系)は、主人公がコンドーム販売会社に勤務という設定です。どちらも面白いタイトルですが、こんなかんじで大丈夫なのだろうかとちょっと心配になります。

もちろん、5つのパターンに当てはまらないタイトルもたくさんあります。『Nのために』(2014年/TBS系)、『鹿男あをによし』(2008年/フジビ系)など小説のタイトルには、人生の奥深さを感じます。オリジナルのドラマにも、『合言葉は勇気』(2000年 /フジテレビ系)、『ふぞろいの林檎たち』(1983年~1997年/TBS系)、『愛はどうだ』(1992年/TBS系)など、日本語の響きや美しさを活かした素敵なタイトルがあります。

タイトルはドラマの世界へいざなって、作品を身近に感じさせてくれたり、グッと広げてくれたりと、想像以上に深いもの。ドラマのタイトルもぜひ楽しんでみてください。

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