VWの狙いはEVで、PHVでも業界をリード
トヨタに続き、世界販売台数で1000万台超えが視野に入ったフォルクスワーゲン(以下、VW)。欧州ではディーゼルのTDI、日本ではダウンサイジングターボの先駆け的存在となったTSIガソリンエンジンがすっかり認知されている。先日、フォルクスワーゲンが発表したのは「e-up!」と「e-GOLF」の2台の電気自動車(以下、EV)。前者は2015年2月1日から受注を開始し、後者は2015年半ばから発売を開始するというもの。
トヨタを追い抜いて世界ナンバーワンを狙うVWがなぜEVに参入するのか? VWではガソリンもディーゼルもHVやPHV(プラグインハイブリッド)も、さらには天然ガスや燃料電池、そして今回のEVも「特別視しないため」というスタンスを明らかにしている。
EV化を前提として作られていたup!とゴルフ
今回の「e-up!」と「e-GOLF」は、日産リーフやテスラのようにEV専用車ではなく、「MQB」と呼ぶVWの新しいモジュラー設計の利点を活かし、EV化することも前提として開発されているという。さらに、ゴルフやパサートにはPHVも発表されており、環境分野でもリードを図りたい構え。現在の日本のEVとPHV普及率は2~2.5%程度でも2020年には市場シェア20%になる(政府予測)と無視できない存在になるとしてVWは、日本にもEVを2台ほぼ同時に導入するという決断をしたようだ。
EV/FCVと従来の内燃機関を搭載するクルマの併用というと、日産ルネッサ(EV仕様も官公庁などに実際に発売された)や先代Aクラスなど、EVや燃料電池搭載を前提したモデルは昔からあるが、フロアがいわゆる「上げ底」や「二重底」になるなど、パッケージングの面で難があり、現実的に商売として売らなければならないガソリン車などにも悪影響をもたらしてしまう例も少なくない。
しかし、EV化を前提に作られていたup!は約3.5mの短めの全長で、しかも1.5mに満たない全高でありながら大人4人が座れる広さを確保しており、「クラシックミニ」のようなミニマムでも巧みなパッケージングを実現させている。
今回は、「e-up!」のみだが、街中で10分足らずだが少しだけ試乗できたので、その印象を含めてお届けしたい。
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