菊花賞の1週前に行われる、牝馬三冠の最終戦
「秋華賞」
3歳の牝馬(メス)たちの戦いも、10月に最終ラウンドを迎えます。それが、G1秋華賞(芝2000m、京都競馬場)です。菊花賞と違い、オークスから距離は短縮。コースも小回りでテクニカルになるのが秋華賞の特徴。真っ向勝負だったオークス、あるいはその前の桜花賞よりも、「技術」や「運」といった要素が絡んでくるレースです。
小回りで最後の直線が短いからこそ、後方のポジションでは追い込みきれません。かといって、各馬が先行し過ぎるとハイペースを招き、ゴール前で状況が一変することもあります。
その証拠に、1999年の秋華賞ではハイペースにより、後方にいた大穴のブゼンキャンドルが1着。2着も追い込んだ伏兵のクロックワークで大波乱。かと思いきや、翌2000年はスローペースとなり、先行した10番人気のティコティコタックが大金星。2着も、終始先頭でレースを引っ張ったヤマカツスズラン。とにかく展開がカギになるのが秋華賞なのです。
そんなテクニカルな舞台だからこそ、逆転劇も生まれます。2009年の牝馬三冠において、常に中心にいたブエナビスタ。彼女は桜花賞・オークスと連勝します。そしてその2レースで、いずれも2着と涙をのんだのがレッドディザイアでした。
最後の一冠に挑んだレッドディザイアは、早め早めの仕掛けで勝負をかけます。この「短い直線を意識した戦法」は見事に功を奏し、宿敵ブエナビスタをついに下したのでした(※ブエナビスタは2着で入線するも、進路妨害で3着に降着)。
2009年秋華賞のレース映像(レッドディザイアは赤帽の5番)
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菊花賞とは違った「最終戦の難しさ」が、秋華賞にはあります。そしてそれが、最後の決戦におけるドラマを生むと言えるでしょう。
古馬だけでなく、3歳馬も参戦
スピーディな攻防が展開される「天皇賞・秋」
3歳以上の馬たちに出走権が与えられるG1天皇賞・秋(芝2000m、東京競馬場)。2014年は11月2日(日)に行われますが、多くの年では10月に行われるため、ここで紹介します。天皇賞と名の付くレースは、年に2回。4~5月に行われるG1天皇賞・春(芝3200m、京都競馬場)と、この天皇賞・秋です。天皇賞・秋も、かつては芝3200mで行われてきましたが、「スピードが問われる中距離決戦を」という声が高まる中で、1984年から芝2000mの距離となりました。
「古馬」と呼ばれる4歳以上の馬はもちろんのこと、同世代の「三冠」を戦ってきた3歳馬も、距離の違いなどを理由に菊花賞ではなく天皇賞・秋に向かうケースがあります。そのため、3歳馬のトップクラスと古馬の初対決が実現することも多いのです。
競馬における「短距離」の1600m以下と、「長距離」とされる2400mなどのレースの中間に位置するのが2000m。そのため、スピードとスタミナのバランスが問われます。
天皇賞・秋からも数々の名馬が生まれました。その筆頭と言えるのが、2013年の覇者ジャスタウェイ。同馬はそれまで、G2やG3でもなかなか勝てなかった馬。それが2013年の天皇賞・秋では、突然、別の馬のような強さで圧勝します。
2013天皇賞・秋のレース映像(ジャスタウェイは青帽の7番)
「まさか」の圧勝でしたが、その後のジャスタウェイの活躍を見ればこの圧勝も不思議ではありませんでした。ジャスタウェイは、翌2014年にドバイの国際G1レース、ドバイデューティフリー(芝1800m、メイダン競馬場)を楽勝。世界にその名をとどろかせる存在となったのです。
歴戦の古馬たちが挑む、中距離決戦「天皇賞・秋」。秋の西日を受けながら行われる伝統のG1で、思う存分熱狂して頂ければうれしいです。
(リンク)
10月のレーシングカレンダー|JRAウェブサイト
ヒシミラクル|競走馬データ‐netkeiba.com
レッドディザイア|競走馬データ-netkeiba.com
ジャスタウェイ|競走馬データ‐netkeiba.com