春からスタートした三冠もいよいよ最終戦
ラストの一冠を競う「菊花賞」と「秋華賞」
競走馬としては「若手」にあたる3歳馬が、春から競い合ってきた同世代の「三冠レース」。そのスケジュールをここでもう一度振り返ります。■牡馬三冠(※牝馬も出走可能)
4月:G1皐月賞(芝2000m/中山競馬場)
5月末~6月:G1日本ダービー(芝2400m/東京競馬場)
10月:G1菊花賞(芝3000m/京都競馬場)
■牝馬三冠
4月:G1桜花賞(芝1600m/阪神競馬場)
5月:G1オークス(芝2400m/東京競馬場)
10月:G1秋華賞(芝2000m/京都競馬場)
違う距離、違う競馬場で行われる3ラウンドの戦い。その最終決戦が10月に行われるのです。
どちらの三冠にも共通するのは、春に主力だった組と夏場に力を付けた組の激突。サラブレッドの3歳夏は、人間の高校卒業くらいのイメージですから、まだまだ成長期。そのため、春は目立たなかったのに、夏場にグッと力をつけて三冠最終戦に台頭してくる馬もいます。このような馬を「上がり馬」と呼びます。
3000mの長丁場で行われる、未知なる戦い
「菊花賞」
皐月賞、日本ダービー、菊花賞のうち、「もっとも強い馬が勝つ」といわれてきたのが菊花賞。前2戦より距離がずっと長く、しかも3歳秋の時点ではまだ未体験のマラソンレースである菊花賞は、もっともタフで「実力がなければ勝てないレース」とされてきました。実際、三冠の中で菊花賞を勝った馬がその後も世代の旗手となったケースは多数。たとえ菊花賞では「伏兵的な存在」で勝利した馬も、翌年はきちんとG1レースで活躍することが多かったのです。
たとえば2002年の菊花賞。このレースを制したヒシミラクルは、18頭中10番人気の伏兵。それまでは、表舞台とは縁遠い下級クラスを走っていた馬でした(初勝利までに10戦を要したほど!)。
2002年菊花賞の成績
スタートから1番人気のノーリーズンが落馬するという波乱の展開。そのレースを制したヒシミラクルは、やはり菊花賞馬らしく、翌年も天皇賞・春と宝塚記念というG1レースを2勝します。
ただし、そんな菊花賞も近年は岐路に立っています。スペシャリスト化が進んだ近年は、3000mという長距離に行かず、年上の馬たちと激突する2000mのG1天皇賞・秋(次ページで紹介します)や、あるいは世界最高峰のレースであるフランスのG1凱旋門賞(芝2400m、ロンシャン競馬場)に向かうケースが増えているのです。
それでも、3000mという未知の舞台で、3歳馬が競い合う姿は競馬のだいご味! 10月の京都、3分間に及ぶ三冠最終戦をご覧頂ければと思います。