「戦える力」を持つ米本
9月の2試合で気になったのは、4-3-3の中盤に当たる3人だ。所属クラブとは違うポジションでプレーする選手が多く、持ち味を生かした選手は少数派だった。アギーレ監督に推薦したいのは、FC東京の米本拓司(23歳)だ。ボールを奪い取る力に優れる彼は、メキシコ人指揮官が重要視する「戦える力」を持つ。現代サッカーに不可欠な、攻守の切り替えの速さも備える。最終ラインの前でこぼれ球を回収するアンカーのポジションでも、そのひとつ前のインサイドハーフでも、中盤の機能性を高めるはずだ。
アジア大会男子サッカーに出場したU-21日本代表にも、中盤に興味深い選手がいる。大島僚太(川崎フロンターレ)と遠藤航(湘南ベルマーレ)である。どちらも21歳だ。
大島はボールさばきに長け、タイミング良く攻撃に関わる。球際の強さに物足りなさを残すものの、サッカーセンスは素晴らしい。
遠藤は守備のマルチロール(万能型)だ。最終ラインでもアンカーでもプレーできる彼は、アギーレ監督の4-3-3に違和感なくフィットする。
攻撃力にも磨きがかかっている。すでに来季のJ1昇格を決めた湘南で、ディフェンダーながら7ゴールをマークしているのだ。「攻守両面で機能する選手を求める」というアギーレ監督の選考基準に、彼は当てはまっている。
U-21日本代表からは、センターバックも推薦したい。鹿島アントラーズの植田直通(19歳)だ。タフでハードなディフェンスを持ち味とし、186センチの長身を利した空中戦にも強さを発揮する。
さらに加えて、足元の技術にも長けている。中長距離のフィードで、攻撃を組み立てていけるのだ。
彼が日本代表で経験を積めば、リオ五輪出場を目ざすU-21日本代表の強化にもなる。早い段階で代表の雰囲気や厳しさを体感させ、さらなるスケールアップを促したい。
浦和から選ばれるなら……?
9月のウルグアイ戦で皆川がテストされた3トップ中央のポジションには、欧州組のハーフナー・マイク(27歳・コルドバ/スペイン)も招集されそうだ。4-3-3のシステムを「戦い方のベース」と位置づけるアギーレ監督は、最前線中央に長身ストライカーを起用する考えを持つ。194センチのマイクがチームにフィットすれば、貴重な戦力を手にすることになる。同じく3トップ中央では、豊田陽平(29歳・サガン鳥栖)も気になる。ブラジルW杯出場は逃したものの、今シーズンも調子は悪くない。9月27日現在の得点ランキングでは、3位タイの11ゴールをマークしている。
J1リーグで首位を走る浦和レッズは、9月の時点でゴールキーパー西川周作(28歳)しか選ばれていない。特殊なチーム戦術がその一因と考えられるが、これから招集される選手が出てくるとしたら、それはフォワード興梠慎三(28歳)に違いない。
身長175センチのサイズは、アギーレ監督が想定する3トップ中央のタイプではない。それでも、前線で確実にボールを収める彼は、日本代表でも攻撃の起点としての期待感を秘める。3トップのサイドでもプレーできる。代表に選ばれてもおかしくない人材だ。