劇作家・宮沢章夫が映画・音楽・コミックなどジャンルを横断しながらクールジャパンに至るサブカルの歴史を読み解く講義形式。知らなかったことがわかるし、自分が楽しんできたことも時代の中でのこんな流れのなかにあったのか、ということも気づかされます。
内田裕也の代表曲問題
知らないことがわかったことの一つとして、内田裕也の代表曲はなにか?ということがあります。内田裕也、たまにワイドショーを賑わせ、業界ではレスペクトされているのですが、そういえば歌手としての代表曲はなにかがわからない。なぜそれでいまのポジションにいるのか?それが「第4回 深夜ラジオと音楽革命 70年代(1)」を見てわかりました。内田裕也は60年代末、日本ロックの最初期から活動。そして「日本語にロックはなじまない」と唱える洋楽コピーの中心的存在でした。それに対して細野晴臣・大滝詠一・松本隆・鈴木茂による伝説のバンド「はっぴいえんど」が日本語ロックをかかげて登場し、こちらの流れの方が主流に。
内田裕也は洋楽コピー中心だったからオリジナルのヒット曲がないんですね。レスペクトされているのは最初期からやっているという先駆者としてと、ザ・タイガースを京都から連れてきたなどプロデューサー的側面からなんでしょう。
サブカル女がアクセントに
ドラマを見るのにも参考になります。昨年放送の『ノーコン・キッド』は1983年からの30年をゲーセンの息子・渡辺礼治(田中圭)、伝説的ゲーマー・木戸明信(浜野謙太)、サブカルな編集者・高野文(波留)の三人の15~45才までを重要なゲームを通して描くという趣向。ヒロインをサブカル女にしたところがアクセントとして効いています。高野文という名前が高野文子(『絶対安全剃刀』などでニューウェーブといわれたマンガ家)が元だろうから、いかにもサブカル。
高野文のセリフで「ピテカントロプス・エレクトス」「教授」「ピチカート・ファイヴ」などでてきました。これらは『サブカルチャー史』でも重要な要素として解説されてます。
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