アート・美術展/アートの楽しみ方入門

変わりつつある「絵」のあり方を西武アキラさんに聞く

油絵具とキャンバスをつかって風景を描くことも、紙にペンでキャラクターを描くことも「絵」です。いろいろな場所で見ることができる「絵」について、今回は考えていきます。

藤田 千彩

執筆者:藤田 千彩

アートガイド

さまざまなところで見ることができる、いろんな人がとっつきやすいアートといえば「絵」でしょう。今回は「絵」について、絵描きの西武アキラさんと一緒に考えていきます。


美術館で見る「絵」

先日西武さんは、地元の文化会館での展覧会で、作品をこんなふうに展示していました。
西武アキラ 《Octagon arabesque》 2014年 水彩、インク、紙

西武アキラ 《Octagon arabesque》 2014年 水彩、インク、紙


 
「木枠にはめ込んだパネルに、絵具をつかって、いろいろな形態の絵を描きました」(西武さん)。

展覧会で見る絵、というと、額縁やこのようなフレームに納まっています。絵にとって額縁やフレームはスーツのような存在でもあり、衝撃を防ぐための装置でもあります。

キュレーター学芸員が考える企画について、僕は打ち合わせや質問を交わして、制作に取り掛かります。この作品の展示場所は戦前から残る古い洋館で、建築やデザインにこだわりが見られます。僕の作品は四角い額縁に入れるより、八角形のフレームに入れてみようと思ったのです」(西武さん)。


壁に描かれた「絵」

西武さんは壁に「絵」を描くことがあります。
西武アキラ 《washed ashore》undefined2010年 アクリル、壁面

西武アキラ 《washed ashore》 2010年 アクリル、壁面


 
「これはギャラリーで発表したものです。表現しようとするもの、美術用語で『モチーフ』と呼びますが、この作品では水中の生き物や風景です。僕なりの解釈で形を崩したり、色を統一させて、壁一面に描いています」(西武さん)。

普通の人にとっては踏み入れることに勇気が必要なギャラリーですが、アーティストにとっては実験ができる大切な場。西武さんはこのギャラリーの壁を小さな自然界、自分の世界に見立てています。私たち鑑賞者は、そんな西武さんの世界観を共有しながら、これは何を表現しようとしているのかな、と想像力をかき立てていきます。

「難しいことを考えるより、鑑賞者自身の想像や解釈を楽しんで、作品を見て欲しいですね」(西武さん)。

こうしたアーティストが壁に描いた絵、つまり壁画(へきが)は、近年デパートなどの商業施設でも取り入られるようになっています。
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