土地購入/土地価格・地価・路線価

2014年基準地価は3大都市圏で2年連続の上昇

2014年の基準地価が発表されました。上昇地点の数は3大都市圏で過半数を超え、地方圏でも増加がみられるなど、ジワジワと上がる傾向が広がりつつあるようです。今年の基準地価の動きを確認しておくことにしましょう。

執筆者:平野 雅之


2017年の基準地価についてはこちら
2017年基準地価は上昇地域が広がる一方で一部に停滞も



2014年(平成26年)の基準地価(都道府県地価調査価格)が9月18日に発表されました。全国平均では、住宅地が前年よりも1.2%マイナスで23年連続の下落、商業地が同1.1%マイナスで7年連続の下落となりましたが、下落率はいずれも5年連続で縮小しています。

全用途(林地を除く)の合計では、上昇が4,405地点(前年2,925地点)でほぼ5割増え、横ばいが3,060地点(同2,660地点)、下落が13,334地点(同15,081地点)となりました。

依然として全体の6割を超える地点で下落が続いている状況ですが、3大都市圏にかぎると上昇が2,969地点で過半数を超え、下落は4分の1未満にとどまっています。

今年の基準地価の傾向を、もう少し詳しくみていくことにしましょう。


基準地価とは?

基準地価とは都道府県が判定するその年7月1日時点の土地価格で、1月1日時点における公示地価とともに土地取引の目安とされます。

2014年の基準地数は、宅地が21,231地点、林地が509地点、合計21,740地点で、2013年よりも249地点が減りました。また、原発事故に伴い福島県では避難指示区域内の31地点で調査が休止されています。

公示地価(2014年は23,380地点)が都市計画区域内を対象とするのに対して、基準地価では都市計画区域ではない住宅地、商業地、工業地や、宅地以外の林地も含んでいるため、平均変動率は公示地価よりも小さめになりやすいでしょう。

基準地価の詳細なデータは、国土交通省による「土地総合情報ライブラリー」でみることができます。また、基準地価と公示地価、路線価との違いについて詳しくは≪路線価・公示地価・基準地価の違いを知る!≫をご参照ください。

基準地価変動率の推移


都道府県別平均では6都県の住宅地、10都府県の商業地が上昇に

基準地価の都道府県別平均では、すべての都道府県で住宅地、商業地とも前年より下落率が縮小、上昇率が拡大、もしくは下落から上昇へ転じています。

住宅地では、宮城県、東京都、神奈川県、愛知県が2年連続の上昇だったほか、福島県と沖縄県が新たに上昇へ転じ、埼玉県と大阪府が前年までの下落から今年は横ばいとなりました。

商業地では、宮城県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府が2年連続の上昇、埼玉県、千葉県、滋賀県、京都府、沖縄県が新たに上昇となっています。

住宅地の上昇率が最も大きかったのは東京都の1.3%、次いで宮城県の1.2%となり、地価回復が先行した愛知県はややスピードダウンしているようです。また、商業地の上昇率が最も大きかったのは東京都の2.7%、次いで大阪府の2.2%です。

地価回復の動きが、住宅地では愛知県、商業地では大阪府に遅れていた東京都ですが、今年はいずれも全国一の上昇でした。とはいえ、リーマン・ショック前の地価上昇期にみられたような勢いはまだありませんが……。

その一方で、下落率が最も大きかったのは、住宅地が秋田県の4.4%、商業地も同じく秋田県の5.5%です。人口減少の問題とあいまって厳しい状況が続いているといえるでしょう。

基準地価変動率の推移


3大都市圏の基準地価は2年連続の上昇

3大都市圏の住宅地平均は0.5%上がり、前年の0.1%下落から6年ぶりの上昇となりました。商業地は1.7%上昇(前年は0.6%上昇)、全用途平均は0.8%上昇(同0.1%上昇)で、いずれも2年連続で上昇しています。

3大都市圏の住宅地では、上昇が1,937地点(全体の46.9%)となり、前年の1,384地点から約4割増、前々年の290地点からは7倍弱に増えています。同様に商業地では968地点(68.0%)が上昇し、前年の681地点から約4割増、前々年の111地点からおよそ9倍に増えています。

しかし、地方圏では住宅地の上昇が992地点(9.3%)、商業地の上昇が393地点(10.8%)にとどまっています。上昇や横ばいとなる地点が年々増えてきているとはいえ、3大都市圏とはかなりの温度差があるといえるでしょう。

ただし、1月1日時点の公示地価と基準地価の共通地点(住宅地1,137地点、商業地479地点)における半年ごとの推移では、地方圏で住宅地、商業地とも後半に下落率の縮小がみられるのに対し、3大都市圏はいずれも後半に上昇率が鈍っているようです。

消費増税後の景気のもたつきが、3大都市圏の地価にも少なからず影響を及ぼしているのかもしれません。

基準地価変動率の推移


次のページで、圏域ごとの基準地価の傾向を確認しておきましょう。


圏域ごとの基準地価の傾向…次ページへ

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