コンセプトは全員攻撃・全員守備
チームは20人で編成されるが、アジア大会開催中もJ1、J2は開催される。このため、1クラブから招集できるのは1人までとなっている。サンフレッチェ広島からは吉野恭平(19歳)と野津田岳人(20歳)が選出されたが、メンバー選考のタイミングで吉野が期限付き移籍先から復帰したことによる特例だ。アジア大会は試合間隔が最長で中4日しかなく、優勝するためには7試合を戦い抜かなければならない。W杯より日程が厳しいうえに、W杯より登録メンバーが3人少ない。累積警告やケガなども考慮すると、チーム全体の総合力が問われるはずだ。
そのなかで中心選手をあげれば、まず名前をあげるべきは遠藤航(えんどう わたる/21歳)になる。J2で首位を独走する湘南ベルマーレに所属する彼は、守備のオールラウンダーだ。手倉森監督が基本布陣とする4-3-3でも、戦術的オプションの4-4-2や4-2-3-1でも、持ち味を発揮できる頼もしい存在である。
J2リーグで7ゴールをあげているように、攻撃力も豊かだ。コーナーキックやフリーキックなどのセットプレーでは、彼のヘディングの強さが武器になる。大会直前の合宿では風邪をこじらせたが、「所属クラブで試合に出ているし、戦術理解度も高い。リーダーシップもある」と、手倉森監督も評価する。
最終ラインでは植田直道(うえだ なおみち/19歳)が砦となる。186センチの高さを誇り、攻撃のきっかけとなるフィードも正確だ。強豪の鹿島アントラーズで定位置争いに食い込んでおり、実戦経験も申し分ない。
チームのキャプテンを務めるのは、ミッドフィールダーの大島僚太(おおしま りょうた/21歳)になりそうだ。J1の川崎フロンターレで確かな存在感を放つ彼は、近未来の日本代表入りも囁かれる。「これまでキャプテンをやったことがないので」と大島自身は戸惑いの表情も浮かべるが、手倉森監督は「物静かな男だが、この世代では一番年齢が上だし、Jリーグの経験も一番している。チームを引っ張っていってもらいたい」と期待を寄せる。
得点源を担うのは鈴木武蔵(すずき むさし・20歳)だ。ジャマイカ人の父を持ち、185センチの高さと速さを搭載する。J1のアルビレックス新潟ではスーパーサブ的役割を担うが、U-21日本代表ではフォワードの軸となる。
「自分たちの現在地を知ったうえで、勝つことを優先したい。全員攻撃・全員守備で臨む」
大会連覇を目標としつつも、手倉森監督はしっかりと足元を見つめる。試合を重ねるごとに個人が逞しさを増し、成長しながら結果を残したいところだ。