効率化の優先順位を考えよう
A:頑張っている私エリア(左上)
ここは、時間も労力も費やしているけれど、気持ちの負担はそれほどでもないというエリアです。つまり、得意分野です。「やることやってるわよ!」と胸を張れるところでもあるでしょう。しかし、それだけに、こだわりが強いのもこのエリア。「朝食は、焼きたてパンと、自作のベーコン」「自分でデザインした子どもの服を縫う」など、やたらクオリティの高いものが混じっていることもあるかもしれません。自己評価は上がりますが、家族からは、家事ではなく「趣味」だと認識されていて、期待したほどの評価が得られないこともあります。
B:効率化成功エリア(左下)
頻度が低い、あるいは、頻度は高いけれど家族内ワークシェアに成功しているエリアです。ただし、苦もなくこなせているこのエリアの家事も、頻度が高くなれば気持ちの負担も変わってきます。たとえば、他の家族が主に担当していてサポート程度に関わっている「ゴミ出し」なども、週2回自分が、となるとエリアが変わってくるかもしれませんよね。負担の少ない家事だからと軽視せず、現在のワークシェアの状態をキープしましょう。
C:取りかかるまでに時間がかかっているエリア(右下)
苦手意識が強いために「やらなければ」と思うだけで気が重くなり、実際よりも大変だと思いがちなエリア。「さて、やるか」と腰を上げるまでに時間がかかるものの、意外と頻度が低いことに気づいた人もいるかもしれません。たとえば、保護者会の役員をしていると、ずっと気にかかっていたりするものですが、実際の活動を紐解いてみると、せいぜい月に1回程度ということも多いものです。
苦手な家事をあまりしていないということで「手を抜いている」という罪悪感を持ってしまいがちなエリアでもあります。「もっと頑張らなければ」と焦ったり、できない自分を情けなく感じることもあるでしょう。しかし、苦手なことの頻度を下げることに成功しているのです! 今のままでも生活は回っているのですから、この状態をキープしつつ、タスクをこなしたら自分をほめる習慣をつけましょう。
効率化のターゲットは、次のDエリアです。
D:消耗が激しいエリア(右上:ここを効率化しよう!)
どちらかというと苦手分野。面倒くさかったり気が重かったりするのに、義務感で仕方なくやっていることが多いエリアです。私たちが消耗するのは、苦手な作業を「~すべき」と思ってしている時です。また、苦手だからこそ「~すべき」という目標を高く置きすぎていることも多々あります。「こんなに頑張っているのに評価されない」という不満が募りがちですが、家族はそこまでのレベルを望んでいない場合も。
たとえば、このエリアに「掃除」が入っている人は、「進んで掃除したくなるのは、どれくらいやらなかった時だろう?」と考えてみましょう。そして「~すべき」と思っているレベルとの中間あたりを目標に頻度やクオリティを落としてみてはいかがでしょうか。レベルを落としたことに家族が気付かなければ、求められていない作業をわざわざやっていたということかもしれません。
見直しを機会に、家事を家族に分配しましょう。その際には「この家事は、実は苦手だし、嫌いなの」とカミングアウトすることをおすすめします。「いつもやっている=好きでやっている」と思われていることが少なくないからです。子どもができることを増やしていくチャンスにもできますね。「この子には、まだ無理」だと、親が勝手に思い込んでいることも多いものです。
家事は、こまごまとした仕事の積み重ねで、やろうと思えばキリがありません。「完璧(perfect)」など、そもそも無理な話。「まあヨシとしよう(good enough)」をキーワードに、効率化とワークシェアをすすめましょう。