そこで泣くかね!怒るかね!

妊婦となったカノジョは、ホルモンバランスの急激な変化のせいで情緒が不安定になります。さっきまで涙を流して泣いていたかと思えば、急に怒り出したり……。カノジョとの生活はスリル満点。その理不尽なスリルに心身ともに削られるか、それをゲームのようなものだと楽しめるか、オレの懐の深さが試されます。

さらにカノジョは、つわりのつらさや出産・育児に対する不安からストレスを感じ、避雷針を探す雷雲のようにイライラのはけ口を探します。さぁ、辺りを見回してみましょう。そこは誰もいない大平原。おへそを隠したって無駄です。そう、オレが避雷針になるしかありません。

だからこう考えてください。思いもしないタイミングで、思いもしない角度から10万ボルト攻撃を受けたとしても、それはオレのせいではないのです。もちろんカノジョのせいでもありません。この時期のオレは、怒られてナンボ、なじられてナンボ。それが自分の役割だと割り切ればいいのです。

腹さえくくれば話しは簡単。追いかけてくるカミナリから逃げるよりも、カミナリの衝撃を上手に受け流す立派な避雷針としてどーんと構えるようにと、発想を変えればいいのです。

そこで今回はカノジョのイライラエネルギーをやわらげるのに効果的な4つのスタンスを紹介します。

「そんなに気にしなくても10カ月くらいならだましだましやれるだろ」。そう思うかもしれませんが、その考え、おすすめできません。あいにくこの状態は、出産後も数年間、しばらく続くのが普通だからです。いわゆる産後クライシスです。それどころか、逃げれば逃げるほどカノジョのイライラエネルギーは増大します。こういう現実を受け止めながら、男は徐々に、父親らしきものになっていくのです。

スタンス1 「オレ」の意見は聞かれてない!

女性が不安を口にすると、男性はここぞとばかりに問題解決モードのスイッチをONにしてしまいます。「どんな難題でもオレ様が解決してみせる!」と頼もしいことこのうえないのですが、それこそがカノジョのイライラを増幅させます。

産後くらい失す

カノジョが感情を全て吐き出せるよう、オレはただ最後まで話しを聴いてあげよう

このときカノジョがオレに求めているのは、ただ最後まで話しを聴いてくれること。しかも、あっちゃこっちゃに話しが飛ぼうが、さっきと今で矛盾したことを言おうが、自分の好きなことを好きな順番で話すのに付き合ってもらいたいのです。そうすることで、不安や恐怖や不満などのネガティブな感情を丸めてぽいっと、吐き出そうとしているのです。

常に論理的であることを好む男性のもっとも苦手とするコミュニケーションスタイルといえるでしょう。だから、意識して「聴き上手」なスタンスを身に付けなければならないのです。

まず大事なのは、ひたすら気持ちよく話させてあげること。適度に相づちを打ち、ときどき「なるほど、○○○と感じているんだね」とカノジョの言葉をオウム返ししてあげると効果的です。自分の意見や正論は置いといて、「カノジョがそう感じている」、その事実だけをそのまま受け止めてあげればいいのです。それだけで、カノジョは「ちゃんと話しを聴いてもらえてる」と感じることができます。

次に気をつけなければいけないことは、彼女の話に対し、総括、提言、批判をしないことです。「要するにさ……」は禁句です。オレの助言や忠告を、カノジョは最初から聞くつもりありません。「それ、キミも少し悪くねぇ?」と思っても、口に出してはいけません。この状況では、正しいか正しくないかよりも、心の異物を吐き出すことを優先すべきなのです。

すべての話しを終え、心の異物を吐き出したころには、カノジョはすっかりご機嫌な別人になってくれていることでしょう。そして最後に「まったくアナタに何時間話しをしても何の解決にもならないわね」なんて言うかもしれません。ちょっと悔しいですけど、それでいいんです。

スタンス2 夫婦喧嘩は勝とうとするな!

妊娠期間中は、オレにとって、少々の忍耐が必要であることは間違いありません。自分に余裕がある限り、カノジョの不安やイライラを受け止めてあげるのがオレの役割です。それに、妊婦の理不尽にいちいち反論していたら体力も気力ももちません。

しかし一方で、我慢をため込みすぎるのも問題です。人間誰しも、自分が我慢していると、いつの間にか他人にも我慢を求めるようになります。「オレはこんなに我慢しているのに、ずるい……」。「ワタシのほうがもっと我慢してるわよ!」。と、口には出さなくても、知らず知らずのうちに我慢大会が始まってしまうのです。こうなるとお互い首を絞め合っているも同然。窮屈でしょうがありません。

そうなる前に、適度に言いたいことを言い合うことは夫婦の健全なコミュニケーションを保つうえで大切なことだといえます。さあ夫婦喧嘩の開幕です。

きっかけは売り言葉に買い言葉かもしれません。ため込んでいた我慢が吹き出すこともあるでしょう。ただし、けんかにもマナーやルールが必要です。

けんかとは、自分のことを分かってもらいたいと思う気持ちがぶつかり合うこと。だから、けんかの目的は、相手に勝つことではなくて、その先にある相互理解だと心得ましょう。勝ち負けにこだわって、相手を論破したところで、待ち受けているのは、勝利の快感どころか、つめたーい家庭の空気でしかありません。

ではどうしたらいいか。
ずばり、勝とうとしないことが夫婦喧嘩の奥義です。
原因をほじくりかえしたり、いつぞやの恨みまで持ち出したりして「相手の弱点を責める」のではなく、「自分がどうしたいのか」「何がどうなれば自分はうれしいのか」など自分が思い描く解決の姿を素直に伝えるのです。あとは、Win×Winの関係にするにはどうしたらいいか、2人で知恵を出し合えばいいのです。必ずしもうまい妥協点を見出すことができるわけではありません。しかしお互いに本音を言い合うだけでも、少なくとも気分はすっきりします。

>> スタンス3 イチからくどき直す覚悟をもて!