ビジネスモデルの違いが利益率の違い
以下のグラフは帝国ホテルとジャパン・ホテル・リートの営業利益率の推移です。帝国ホテルが10%以下なのに対して、ジャパン・ホテル・リートは概ね40台をキープしています。これだけ大きな差が発生する理由は、両社のビジネスモデルの違いにあります。【図表2 帝国ホテルとジャパン・ホテル・リートの営業利益率の推移】
帝国ホテルのビジネスモデルは、ホテルを保有して、多くの従業員を雇ってサービスを提供し、お客さんに宿泊してもらったり、宴会をしてもらったりして売上を獲得します。
帝国ホテルの主な売上は宿泊料や宴会料金で、主な費用はホテル従業員、一般事務員、営業等の人件費、建物の減価償却費です。
これに対して、ジャパン・ホテル・リートは、売上のほとんどが賃貸収入です。ジャパン・ホテル・リートは、借入や株式発行によってお金を調達して、そのお金でホテルの建物を買い、そのホテルを運営会社に貸して、賃貸収入を得るというビジネスモデルです。
したがって、ジャパン・ホテル・リートの主な売上は賃貸収入です。そして主な費用は建物の減価償却費や固定資産税、支払利息などの資金調達コストです。
両者の大きな違いは、帝国ホテルはサービスを提供する多くの従業員が必要ですが、ジャパン・ホテル・リートでは必要ない、という点です。ジャパン・ホテル・リートの場合、ホテルでサービスする従業員はホテル運営会社が雇用するからです。
帝国ホテルは売上を計上するために、人件費など、多くの経費が必要なので、売上は大きくても費用も大きいため、利益が小さく、営業利益率が低いといえます。
一方で、ジャパン・ホテル・リートの売上は帝国ホテルと比べると小さいですが、人件費も比較的少ないので、営業利益率が高いといえます。