スキューバダイビングの天敵⁉ クラゲの対処法とは
とてもきれいなこの写真、実はある生きものの一部を顕微鏡で拡大したものですが、何かわかりますか?実はこれ、猛毒のクラゲとして知られる「カツオノエボシ」の触手の部分を拡大したもの。夏になると海岸に打ち上げられ、ニュースでも海水浴場での被害などがよく取り上げられています。クラゲにはさまざまな種類がいますが、このカツオノエボシやアンドンクラゲのように毒の強いクラゲもおり、クラゲ自体の姿が見えなくても、切れた触手が流れてきて刺されることもあるので、ダイビングでも水面を泳ぐときなどは注意が必要です。
対策としては、肌の露出をなるべく避けること。夏の水温が高い時期でも、長袖のスーツを着て、グローブやブーツを着用するほか、ダイビングの合間のスノーケリングの際には長袖のラッシュガードを着て肌を保護するなど、なるべく肌を出さないようにしましょう。また、泳ぐ際は周囲を慎重に確認しながら、流れてくる触手などをしっかりと避けること。特に、どうしても肌が露出してしまう顔や首に当たらないように注意しましょう。
もしクラゲに刺されてしまったら……
切れた触手などにちょこっと刺された程度であれば、そのままダイビングを続けてもまず問題ないと思いますが、長い触手で体の広範囲を刺されたり、過去にもクラゲに刺された経験があるという人は要注意。強い毒を持ったクラゲに刺された場合は、頭痛、吐き気、呼吸困難などの症状が出ることがありますし、過去にクラゲに刺されていると「アナフィラキシー反応」というアレルギー反応を起こす可能性もあります。すぐにダイビングを止めて水から上がり、安静にして応急処置を施しましょう。
応急処置として通説になっている「クラゲに刺されたら“酢”」は、実はNG。確かにハブクラゲなど一部のクラゲには有効といわれていますが、カツオノエボシのように、酢をかけることによって触手についている刺胞(毒のトゲ)が刺激され、症状がさらにひどくなるという例もあります。クラゲの種類が確実にわからない場合は、酢を使用するのは避けるべきです。
まずは触手を取り除き、酢ではなく「海水」で患部を洗うことがおすすめ。ちなみに真水だと、浸透圧の関係でクラゲの刺胞が刺激され、やはり症状を悪化させる危険があるといわれています。なお、触手を取り除くときですが、素手で触手を取り除こうとすると、その手も刺される可能性があるので、ピンセットやビニールの手袋などを使用すること。こすらないように注意して、丁寧に取り除きましょう。
あとは患部を温熱湿布で温めるか、氷水で冷やすなどして病院へ。お湯に浸けるよりも、熱々の温熱湿布で患部を繰り返し温めたほうが、効果が高いといわれています。クラゲのいる場所では、気をつけてダイビングを楽しんでくださいね。
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