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【保存版】建築家ピエール・シャローとガラスの家・後(2ページ目)

【石川 尚のWAKUWAKUプレス・レポート】#64 20世紀前半に建築界に革命を起こしたピエール・シャロー(1883~1950)、日本初の回顧展を取材した。正式な建築の勉強はしていないが、デザインの近代化に関与した建築家。保存版の展覧会、全2編でご紹介します。 取材協力:パナソニック 汐留ミュージアム

石川 尚

執筆者:石川 尚

ファニチャーガイド

建築に通じる金属と木のコントラスト

さて、存在感のあるハイスツール:MT344(1927年)とスツール:EF596(1927年)が目に入る。

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このスツールは、グラン・オテル・ド・トゥールの為の家具である。ポール・ベルンハイムから依頼されたホテルの改修デザイン。シャローにとっては、それまでのアパルトマンの内装、サロン全体の空間提案とはスケールの異なる仕事だった。彼が家具から建築に目覚めて行くのがこの頃だろうか。

このスツールを見ているとそんな片鱗を感じざるをえない。

スツールの脚先端画像undefined●クリックすると拡大します。

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脚の先端は球体。脚と先端、つまり床との接点を明快な形状にしている。

スツールのジョイント部分画像undefined●クリックすると拡大します。

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鋼管による脚と貫のジョイントは同材の鋼管パーツを用いて強度と意匠をかねた方法をとっている。

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鋼管の脚が木の無垢材による座面にまるで吸い込まれるようにあるのは、とてもユニークなディテールだ。通常なら、鋼管の脚にのっけて固定する座面、というところだろうか。当時流行ったパイプ椅子でみられる納め方はここにない。鋼管の仕上げもニッケルメッキしてピカピカではなく、錆び止めの上から塗装である。
流行を追わずマイペースであることが、シャローの価値観だったのだろう。

シャローの建築家的視点が如実に表現されたのがこのデスク:モデルの机(1927年)。まず、デスク全体をみる。

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金属プレート(平板鋼板)で全体の骨格をつくり、天板、袖天板、棚、収納ボックスを設置している。

デスクのT脚画像undefined●クリックすると拡大します。

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脚はT型を逆さにしたもの、M型にした夫々の金属プレートでシンプルにまとめている。

デスクの回転袖テーブル画像undefined●クリックすると拡大します。

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T型脚の天板よりに設定してある袖天板は回転式。使用しない場合は本体の天板下に格納する。グっと寄って、回転軸のディテールを見る。このデスクも金属の作り、金具に工夫した痕跡が見える。

デスクの収納ボックス画像undefined●クリックすると拡大します。

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貴重なステーショナリーグッズや書類を格納するのだろう、鍵つきの収納ボックスが天板右奥に設置してある。まるでスーパーのレジスター抽き出しの様。

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デスクのスツール画像 ●クリックすると拡大します。


デスク専用のスツール。デスク同様金属プレートをコの字に加工し両サイドに細いロッドを立て、座面を受けている。金属と木、ブラックとシルバーというコントラストを効かした構成だ。
各部位を顧客の要望に合わせ組合せが可能なようにシステマティックにデザインした、建築のような家具である。実際1927-1931迄計25種類のデスクがつくられているという。



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