狭い玄関の場合は、ガラス面積の広い玄関ドアで採光する
30坪以下の家の玄関は狭いことが多いので、下駄箱面積を必要十分確保すると、窓が取れないことが多くなり、暗くなります。壁には窓を取り付けるスペースは無いので、玄関ドアにガラス面積が広いものを採用することが、下駄箱面積と採光を両立する方法になります。しかし玄関ドアは、断熱性能と防犯性能とプライバシーを優先しているので、ガラス面積の大きなものは、国内及び外国メーカーを含めて、ほとんど無いのが現状です。近所の家を見てください。ガラス面積の大きな玄関ドアは、ほとんど無いはずです。
私が調べた範囲では、スウェーデンのガデリウス社の玄関ドアに、1種類のみガラス面積の大きな玄関ドアSV94W16があります。採光と断熱性能が確保できる木製の玄関ドアです。断熱性も気密性も高く、採光も確保できるので、良い選択の1つだと思います。
別の方法として、下記写真はアルミの勝手口用ドアを特注寸法で大きく造り、玄関ドアとして使った例です。勝手口用ドアは元々ガラス面積が大きく設計されています。断熱性能は、通常の玄関ドアには劣りますが、ガラス面積は大きいので、廊下まで明るく採光は十分確保できています。
外側アルミ、室内側樹脂のペアガラス複合サッシです。住まい手にとっては、断熱性能は多少劣っても、暗い玄関になるよりは良い場合が多いのです。窓の取れない、コンパクトな家の玄関の採光を確保する方法としては、値段も安く良い選択肢の1つだと思います。
勝手口用ドアを特注で大きく作り、採光を確保できる玄関ドアとして使用。
今後、30坪以下の家は減ることはないと思われます。コンパクトな家の玄関にも使える、採光ができ断熱性能も高い玄関ドアを、国内メーカーにも発売して欲しいと思います。
しかし、ガラス面積の大きな玄関ドアは、採光は確保できますが、プライバシーや防犯面からは、ベストな選択ではないかもしれません。物事には必ず、良い面と悪い面があります。地域性も考え、信頼できるプロの意見も参考にして、玄関ドアを選択してください。
30坪以下の家の玄関を使いやすくする工夫
30坪以下の家の玄関は狭くなることが多いので、様々な小さな工夫をして、使いやすくすることが大切です。その工夫を2つご紹介します。1.下駄箱は規制品でなく、スペースに合わせて大工さんに造ってもらうと使いやすい。
30坪以下の家の玄関は狭くなることが多いので、下駄箱は既製品でなく、スペースに合わせて大工さんに造ってもらうと使いやすいものができます。下駄箱の奥行を45センチ程度で造り、棚板奥行を30センチにします。扉と棚板の間に15センチ程度のスペースが出来ます。15センチあれば、扉の裏側にフックを付けて、畳んだ傘等を引掛けておくことも出来ます。下駄箱の中が傘たての代わりになるので玄関が広く使えます。また下駄箱の扉に姿見をはめこんでおくと、身だしなみも整えられ、鏡に室内が写り、狭い玄関が多少は広く感じます。
下駄箱のドアの裏面にフックを付け、傘たての代わりとした。姿見もドアにはめこんでいる。
2.玄関に大きめの屋根を造ると、雨に濡れずに外で待機できて使いやすい。
また、30坪以下の家の玄関の床面積は収納を入れずに1帖程度になることが多いので、玄関内部に大人2人が同時に立つのは難しいのです。玄関の外部に大き目の屋根を付けて、雨の日でも大人2人が濡れずに外で並んで待てるスペースを作ると、雨の日の来客時に雨に濡れないで、慌てずに室内に入れます。郵便ポスト上にも大きな屋根があると、郵便物が濡れにくくなります。
30坪以下の家の玄関外部には、大人2人が並んで立てる大きめな屋根を付けると、雨の日に使いやすい。郵便物も濡れにくい。
今後の30坪以下の家
新築一戸建て住宅の省エネ性能は、国に誘導されて上がる傾向にあります。世界の、特にヨーロッパの住宅が省エネ化を加速させる中で、日本の住宅も世界基準に近づくために、省エネ化しています。2020年までには住宅について省エネ基準の義務化が実施される予定ですし、「低炭素住宅基準」等を設定して、省エネ性能の高い住宅には、住宅ローン減税の上乗せなどの税制上の優遇が受けられます。また、省エネルギー性能の高い住宅には補助金を出すなど、国を挙げて住宅の省エネ化を進めています。住宅性能が上がれば建築コストも上がりますから、日本経済が縮小していく中、30坪以下のコンパクトな家が多くなる(大きな家を造りにくくなる)方向なのは間違いありません。
30坪以下の家を建てる場合は、普通の家よりも狭いので、「今後の生活に本当に何が必要なのか」を、最初によく考えておく必要があります。