「抜け道」の多いLINEの規約
ではLINEの利用規約はどうか。LINEの利用規約はWeb上にあるので、文字が小さいというようなことはないが、ユーザー情報の取り扱いについて「抜け道」が多いのがわかる。一例が「規約の変更」に関する記述だ。LINEの規約は利用者に通知なく自由に変更でき、使用を継続したユーザーは無条件に同意したと見なす旨、明記されている。
さらにLINEプライバシーポリシーには、LINEアプリがユーザーの「電話番号」「メールアドレス」「アドレス帳」を取得することが記されている。
さらにマーケティング目的で「氏名」「住所」「電話番号」「メールアドレス」「性別」「生年月日」等を取得することも記され、それらを業務委託先(=外部業者)に預託する場合があることも明記されている。
先頃、ベネッセが顧客情報の扱いを外部業者に委ねていたことが非難されたが、LINEではそれが利用規約に含まれている。つまり、ユーザーはアカウント登録と同時にこれらをすべて許可していることになる。
さらに端的に、情報がどう使われそうかを推測できるものがある。
上場によって目的は明確化される
それはLINEが株式を上場するということだ。上場するということはマーケットから広く投資を募るわけで、中には大口の投資家も含まれることになる。その立場から考えれば答えは明かだ。自分が投資家ならと仮定してみる
あなた自身が投資家だと仮定した場合、その企業がユーザー情報というマーケティングの武器を持ちながら、それを活用しないことを許すだろうか。ビッグデータの時代と呼ばれる今、個人情報はもちろん、ユーザー相互の本音トークが含まれる情報を死蔵させることを、投資家として許すだろうか。投資家であれば、法律の範囲内で会社の資産を最大限活用するよう要求するはず。
自分が社長ならどうするか
もしあなたがLINEの社長だと仮定すればもっと話はわかりやすい。業績アップの決め手ともいえるユーザーの情報を温存したまま、漫然と無料でチャットさせ、薄利多売のスタンプで収益を上げようとするだろうか。そんなことはありえないはずだ。あなた自身が社長であり、あるいは株主であると仮定したなら、どちらもそんな判断は下さないはずだ。
便利さと情報露出は表裏一体
当然のことながら、個人情報の扱いは法律の範囲内で行われるが、IT時代では、個人情報をどこに置いても絶対に安全ということはない。それはLINEだけでなく他のサービスでも同様だ。便利さと個人情報の露出は裏表一体。便利なITサービスこそ、そうした自覚をもって利用すべきだろう。