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躍動感を生む 『HERO』5つの「描く」(2ページ目)

『HERO』の面白さはワクワクする躍動感と自由に動き回る登場人物。その背景には、空間の描き方、女性の描き方など『HERO』ならではの「描く」がいくつもあります。

竹本 道子

執筆者:竹本 道子

ドラマガイド

3: サラリと描く

さりげない会話も魅力

さりげない会話も魅力

ドラマの根底には久利生検事の真実への執念、正義への思いがあります。

城西支部のメンバーは、久利生検事の「徹底的に調べる姿勢」に触れ、視野を広げていきます。

しかし、久利生検事は常日頃、何かを力説しているわけではなく、「俺は違うような気がするんスけどね」とサラリと言うくらい。被疑者に対しても「これ、大事なことなんでよく聞いてほしいんですけど……」と、説教じみていないのです。

サラリとしているのは、久利生検事だけではありません。北川景子演じる事務官の麻木千佳や小日向文世演じる事務官の末次隆之が久利生検事の思いを代弁したり説明したりすることもありますが、これまたいたってサラリ。

第3話では、杉本哲太演じる検事の田村雅史に対して末次事務官が、自ら現場で調査する久利生検事のことを「そういうのもありかなって……」とサラリと言います。サラリは意外に響きます。ちょっといいなと思える人間関係も見えます。それも『HERO』のセンスなのです。

もちろん久利生検事も城西支部のメンバーも「ココ」という時は力強く主張するし怒る。その絶妙なさじ加減がさらに生きたドラマを創っているのです。


4: 女性を描く

女性が活発に会議する様子

女性を生き生きと描きます

女性を描くということは時代を描くということです。そこにつくり手の視点が浮き彫りになります。適当に描いているなとか、ちょっと古い認識だなとか、意外に視聴者はしっかり感じるものです。そういう意味でも『HERO』の女性観はまさに女性の共感を得るものと言えます。

前作のちょっと勝気でキュートな事務官・雨宮舞子(松たか子)と検事の中村美鈴(大塚寧々)も魅力的でしたが、そこから時代はさらに変化しました。

今回登場する二人もやっぱり勝気ですが、スタイリッシュでどこかクール。事務官の麻木千佳は紺、ベージュ、白とベーシックな色を好みます。ジャケパンスタイルも白い鞄と相性がよく、「できる女性」への嫌みのない気負いと可能性がフレッシュに映ります。一人ご飯でガッツリ食べる一面も、できる女性ならではの時間なのでしょう。微笑ましくて、応援したくなりますね。

吉田羊演じる検事の馬場礼子は鮮やかな色のジャケットをジャストフィットで着こなす上級者。時おり自虐的だし、酔うと泣いちゃうし……ですが、仕事となるといたって冷静で的確です。

第2話では、納得のいかない案件をもう一度考えようと深夜に現場へ向かう麻木事務官を「おごるわ」と半ば酔いながら送り出します。後輩にエールを送る演出、女性が女性に一杯おごる心意気にグッときた視聴者も多いのではないでしょうか。働く女性、主張できる女性は美しいとする視点も『HERO』らしさであり、活気あるドラマを支えています。
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