現在、東京都目黒区の目黒区美術館[ジョージ・ネルソン展―建築家、ライター、デザイナー、教育者]が開催中です。

アメリカのハーマンミラー社のデザインディレクターとして知られているネルソンは、チャールズ・イームズ、レイ・イームズ夫妻やアレキサンダー・ジラード、イサム・ノグチらの優れた仕事を導いて、戦後のアメリカン・デザインの確立に大きく関わりました。

また、本展のサブタイトルが表すように、ネルソンには様々な顔がありました。 会場は、ヴィトラ・デザイン・ミュージアム所蔵の関連コレクションを中心に、家具やプロダクト、模型や映像など約300点で構成され、ネルソンの多面的な業績を紹介しています。

本展は、ドイツのヴィトラ・デザイン・ミュージアム(Vitra Design Museum)が企画する国際巡回展のアジア巡回の一環として、オーストラリア、香港に続き、国内では唯一、目黒区美術館のみの開催となっています。一部、日本で集めた資料も展示されています。この貴重な機会に、ぜひネルソンの世界をご体験ください。
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会期:2014年7月15日(火)~ 9月18日(木)
月曜休館 ただし、9月15日(敬老の日)は開館し、翌日は休館
開館時間:10:00-18:00(入館は閉館30分前まで)
観覧料:一般 1000(800)円 大高生・65歳以上 800(600)円
小中生 無料
( )内は20名以上の団体料金、障がいのある方は半額、付添者1名無料
会場:目黒区美術館 東京都目黒区目黒2-4-36 Tel. 03-3714-1201
主催:(公財)目黒区芸術文化振興財団 目黒区美術館、読売新聞社、美術館連絡協議会
企画:ヴィトラ・デザイン・ミュージアム (the Vitra Design Museum, Germany)
特別協賛:ハーマンミラーインターナショナル アジア・パシフィック、ハーマンミラージャパン株式会社
協賛:ライオン、清水建設、大日本印刷、損保ジャパン・日本興亜損保、日本テレビ放送網、(有)共済企画センター、天童木工、マーベラス、サッポロビール
後援:アメリカ大使館
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ジョージ・ネルソン 1965年頃
George Nelson, ca.1965 Photo: Vitra Design Museum Archiv


ジョージ・ネルソンの多面性を体験

会場は2階から始まります。エレベーターの前ではネルソンの代名詞とも言える『マシュマロソファ』が来館者を迎えます。メインとなるトップライトの高い天井の展示室には、ネルソンの手掛けた数多くの家具と、アメリカ情報庁(USIA)の依頼で、1959年にモスクワで開かれた「アメリカ博覧会」で手掛けたプロジェクトが展示されています。
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『マシュマロソファ』(1956年)。セルフスキニング・ポリウレタンフォームのクッションを大量生産して製作。

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天井から吊るされた『バブルランプ』(1952年)の下にレイアウトされた、ネルソンの家具と「アメリカ博覧会」の展示システム。

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1950~60年代にハーマンミラー社で手掛けた、様々なシリーズの椅子やキャビネットやテーブルが並ぶ。

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上「アメリカ博覧会」用に開発された巨大なフレーム構造『ジャングルジム』(1959年)。階段を上がった先のモニターに当時の博覧会の様子が流れる。
下 スタジオで模型『ジャングルジム』の展示を検討するネルソン事務所のスタッフ達。奥は1/6の模型。

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仮設展示場として開発された『アンブレラ』(1959年)。高さ6mのファイバーグラス製の傘をつなぎ合わせて出来る半透明の屋根の下を、展示場やファッションショーの会場にあてた。

先ほどの「マシュマロソファ」の隣では、彼の建築家としての仕事が紹介されています。ニューヨーク・マンハッタンの長屋スタイルの都市住宅『シャーマン・フェアチャイルド邸』や、「プレファブ化」の可能性を追い求めた『エクスペリメンタルハウス』の模型が圧巻です。
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上 『シャーマン・フェアチャイルド邸』(1952年)。京都の町屋のように間口が狭く奥行きが深い土地に建つ地上3階、地下1階の中庭付きの豪邸。※特別出品 東京理科大学岩岡竜夫研究室製作
下『エクスペリメンタルハウス』(1957年)

建築コーナーの隣には、「オフィス家具」と「時計」が待っています。1950年代のアメリカに巻き起こったモダン家具の一大ブームの流れを受けて提案された、モジュール式オフィス家具『エグゼクティブオフィスグループ』と『モダンマネージメントグループ』が並び、壁には『ボールクロック』に代表される、遊び心満載のカラフルでバリエーションに富んだ時計達が架けられています。
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上 『エグゼクティブオフィスグループ(EOG)』と『モダンマネージメントグループ(MMG)』など。
下 ロバート・プロストが発案した『アクションオフィス(AO-1)』(1964年)。

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ハワードミラー社の壁時計。1947年からネルソンとスタッフが手掛けたデザインは130種類にも及んだ。

最後は「教育」と「グラフィックデザイン」と「企業デザイン」で締めくくられます。
教育に高い関心のあったネルソンは「教育は自分の使命」ととらえ、スライドを駆使した講演会を数多く行い、その成果は1970年代の著作『How to See(ものの見方)』で完成をみました。

また、ハーマンミラー社に代表される企業CI(企業イメージの統一化)の先駆けとなる仕事も手掛け、企業ブランドの確立に貢献しています。
ここには、ネルソンが20年にわたって追求してきた収納家具の集大成とも言える『コンプリヘンシブ・ストレージシステム(CSS)』も展示されています。
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上 ネルソンの講演会のポスターと企業グラフィックが並ぶ。 下 「ペンキ塗り立て」「ゴミを捨てない」「禁煙」などの注意を促すピクトサイン『プロントポスター』(1964年)※中央の「WOMAN」以外は特別出品 リーズデザイン研究所

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『コンプリヘンシブ・ストレージシステム(CSS)』(1957年)。柱間32インチ(約82cm)を基本単位にしていて、軽量化された柱でレイアウトを簡単に変更できる。

なお1階の休憩室には、ネルソンの椅子や家具や小物が置かれています。椅子に座って彼のデザインの心地よさを実際に体験してみてください。
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上 ネルソンのグラフィックとイメージを再構成したコーナー。 下 ネルソンの家具で寛げる休憩室。

関連イベント:特別講演会とトークセッション

本展の関連イベントとして、8月31日(日)に[ジョージ・ネルソンのベストデザインは「ジョージ・ネルソン」]と題して、1960年代のネルソン事務所に一時席をおいた内山陸平氏(京都工芸繊維大学名誉教授 リーズデザイン研究所主宰) による特別講演会が行われます。

また、8月17日(日)には[住まいのデザインをめぐる冒険]、9月7日(日)には[ジョージ・ネルソン そのまなさしの現代性]と題して、トーク・セッションが行われます。
いずれも事前申込制で、講演会 14:00~15:30  トーク・セッション 14:00~16:00 会場は目黒区美術館内です。http://mmat.jp/
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