奈や那には悪い意味があるか?
菜、奈、那の字に悪い意味はない
A 菜、奈、那はすべてよい意味で名前に向く字です。菜はきれいな草花、奈は植物名、那は広い範囲をあらわす字で「どこ」「そこ」という意味です。熟語というのは漢字を組み合わせて別の意味の言葉を作ったものですので、熟語から漢字の意味を考えると間違えます。
ナはほとんど3つの字が使われている
菜、奈、那の3つの字は非常に多く使われる字です。- 菜の字の下側の「采」は、始めは植物に手を伸ばす絵が描かれ、きれいな草花を表したものと考えられます。テヘンをつければ「採」の字で、草花をつむことです。クサカンムリをつけた菜の字は、本来は人がつむ草花を表したものと考えられます。
- 奈も植物を表す字ですので悪い意味はありません。シメスヘンは祭壇を表しますので、奈はおそらく祭壇に飾った植物ではないかと思われます。ただ何の植物かはわかっておりません。リンゴの一種という説があることはあります。なお奈落という字はナラカ(naraka)という仏教用語を音訳するためにあてられただけで、奈の字の意味とは関係ありません。奈落の奈だから悪い字だ、という話が流れることもありますが、悪い意味の外国語を当てたから字の意味が悪い、と言うのは間違いです。たとえばテロが悪い意味の外国語でも、テやロが悪い意味の字だということにはならないでしょう。
- 那の字の成り立ちについてはよくわかっておりません。右側のオオザトは場所を表しますが、左側が何を描いた絵なのか謎なのです。この字は「あのあたり」といった、特定できない範囲を表す字として使われてきましたが、悪い意味はありません。刹那も仏教用語のクシャナ(ksana)のあて字ですから字の意味と関係ありません。
そのほかのナと読む字
このほか使われる頻度は少ないですが、悪い意味は無く、ナと読ませても間違いではない、という字はあります。- まず「南」の字ですが、「ナン、な、みな、みなみ、なみ」といった読み方があります。圧倒的にミナミという名前に使われ、南、南美、美南、南海などと書かれますが、いずれも正しい読み方です。このほか香南、沙南などの名に使われることもありますが、その場合はそれぞれ「かな、かなみ」「さな、さなみ」という二つの読み方をもつ名になるわけです。この字はたまにナント、コナンという男の子の名にも使われます。
- 「名」の字は、まれにですが名前に入れられることがあります。たとえば春名(はるな)、優名(ゆうな)などの名前です。ただしこの字が名前に使われる理由は不明です。字画を合わせようとしてこの字になった、ということも考えられます。
- 「凪」は「なぐ」という訓読みがありますので、ナと読ませることは間違いとは言えません。凪美(なみ)、咲凪(さきな)という名前も読み方は間違いではありません。ただめずらしい使い方ですので、読み方のわかりにくい名前にはなるでしょう。