甘味種のひとつ鷹峯唐辛子。
辛味成分に、食欲増進、代謝を高める働き
トウガラシはたくさんの品種がありますが、大きく分けて「辛味種」と、辛味の少ない「甘味種」があります。獅子唐辛子(ししとう、とも呼ばれる)や満願寺唐辛子はピーマン、パプリカなどと同じ甘味種です。
辛味種には、日本種の「鷹の爪」「八房」などがあります。世界にも韓国、ペルー、タイ、メキシコなど辛味が強い品種があり、トウガラシの辛味でギネス記録を競われるほどです。
辛味のあるスパイスはいろいろとありますが、最も辛味が強いのはトウガラシで、ショウガやコショウと比べて強いのです。辛さの成分はカプサイシン類で(成分は品種によって異なりますが)、主にカプサイシンとジヒドロカプサイシン、他にホモカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシンなどの種類があります。
中医学の薬膳の考え方では、トウガラシは身体を温め、食欲、血液循環を促す作用があるとされています。近年科学的にもトウガラシの機能性の研究が進み、辛味成分のカプサイシン類には、交感神経の褐色脂肪細胞に働いてアドレナリンやノルアドレナリンの分泌を促し、エネルギー代謝を高め、体内に蓄えられている脂肪燃焼作用があることも明らかにされています。
他にも、胃液の分泌を高めて消化を促す、料理に塩分が少なくても満足感が得られるため減塩効果も期待できると考えられています。
既述の通り、脂肪燃焼作用はありますが、トウガラシを食べるだけで必ずやせるかというと、少し早計です。同時に食欲を促す働きもありますし、食事量や運動量など、生活習慣全体を考えなければ、誰でもやせられるとはいえないと思います。
近年では、トウガラシの辛味のない品種で、カプサイシン類に似た構造をもつカプシエイトという成分が見つかりました。カプサイシン類は辛味であるため、食品として多く摂取できませんが、このカプシエイトは辛味がなく、カプサイシン類と同様の作用があることで、健康食品などの応用に期待されています。