防犯性を検討する際には、まず、周辺環境を確認し、それに見合ったプランとすることが基本です。車や人の通行、日中だけでなく夜間の状況なども考慮して、住まいの配置や間取り、取り入れる設備や建材を考えるようにしましょう。
ここでは、防犯性に関わる建材や設備などをピックアップ。選ぶ際に知っておきたい基礎知識をまとめました。
玄関扉のキーシステムはさまざま。家族構成に合わせて選びたい
家族誰もが施解錠しやすい鍵を選びたい。[NEWコンコード B04 W7 袖付きタイプ ポケットKey/ピタットKey 電池式 リモコン操作] YKK AP
玄関扉の鍵は、シリンダーキーと呼ばれるものが多く用いられていますが、ピッキングを防ぐためには、ツーロックが基本でしょう。ツーロックとすることで、不正解錠の手間と時間がかかり、見た目にも侵入を敬遠させることができる、といわれています。
最近では、電動で施解錠するシステムが搭載されている商品も増えてきています。電池錠と電気錠(配線式)がありますが、ボタンを押してカードをかざしたり、リモコンキーで施解錠するタイプ、鍵を身につけ扉のボタンを押すと解錠可能なシステムや鍵をポケットに入れておけば近づくだけで解錠が可能なもの、室内のコントローラーやリモコンで施解錠するシステムなどもみられます。家族構成やライフスタイル、間取りに合わせて選ぶことが大切でしょう。
また、明るさを確保するため玄関扉にスリットや小窓を設けたもの、子扉や袖部分などがガラスとなっている場合、ガラス部分のサイズや強度などにも注意を。玄関扉だけでなく、勝手口扉も同様に確認するようにしましょう。
窓サッシはガラスがポイント。鍵の使い勝手にも注意を
リフォームで内窓を設置すれば、断熱性だけでなく防犯性も高まる。[プラマードU 引違い窓(2枚建) E3:木目ナチュラル] YKK AP
また、壊されにくく、破られにくいガラスやサッシを取り入れることも検討したいもの。1階部分の掃き出し窓や大きめの窓ガラスには、防犯性を高めた合わせガラス(防犯ガラス:2枚以上のフロート板ガラスの間に、厚く強靭な中間膜とすることで、突き破るのに時間がかかり防犯性に優れるもの)などを用いる方がいいでしょう。
その他、サッシ部分の鍵も確認を。引き違い窓で用いられているのは、クレセント錠(サッシの内側についている半円形の締め金具。回すことで施解錠する)ですが、施錠の状態で固定させる機能が付いているケースも多くみられます。また、引手と錠が一体化したタイプの戸先錠も。窓の開閉操作と同時に、施解錠できるタイプです。
リフォームで注目されている室内窓は、設置することで二重窓となるため開閉操作が倍になりますが、防犯面を考えると、侵入することに手間がかかる分メリットがあると言えるでしょう。
面格子や窓シャッターを適材適所に
設置位置や窓の形状に合わせて、窓シャッターを設置したい。[壁付シャッター スチールタイプ/APW431 大開口スライディング 均等タイプ] YKK AP
また、1階部分に設置するケースも多い窓シャッターは、防犯性能も高まっており、こじ開けやスラット外しなどに強い構造のシャッターもみられます。小さな窓にも設置できるタイプ、サッシ一体型のシャッターなども。手動タイプのほか、リモコンやスイッチによって操作できる電動タイプも揃っていま す。
バルコニーやベランダは、見通すことができるデザインを
スクリーンを組み合わせて、防犯面と心地よさを確保したバルコニーを実現。[大型空間バルコニーエアキューブ フレームユニット:ハイタイプ(B1)、格子ユニット:パネル・横スクリーン] YKK AP
また、プランニングにもよりますが、2階にベランダを設置する場合は、足がかりになるような柱を設けないタイプの方が防犯的には安心です。その他、ベランダに照明器具を設置する場合は、センサータイプとしてもいいでしょう。
防犯性能の高い建物部品から選ぶ
防犯性能の高い製品のひとつの基準としては「防犯性能の高い建物部品」があります。これは、「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」 による防犯基準にクリアした製品のことで、既存商品に比べて防犯性能が高く、主にこじ開けやピッキングに5分以上耐える製品のこと。対象となっている建築部品には、玄関扉や勝手口扉、錠や窓サッシ、面格子や窓シャッターなどがあり、CPマークが表示されています。商品を選ぶ場合には、カタログやショールームなどで確認するようにしましょう。新築やリフォームを進める中で、極端に防犯性能を高めることだけに注力してしまうと、住まいとしての居心地のよさ、使い勝手などのほかの機能、性能に支障をきたしてしまうことも。開口部の配し方によっては採光や通風に影響がでたり、面格子を多くつけることで閉鎖的な気分になったり、あまりに複雑な施錠方法では扱いにくい場合もあるでしょう。間取りに対して、効果的な対策を検討しつつ、家族構成や年齢、ライフスタイルに合わせ、バランスのとれたプランニングをすることが大切なポイントです。
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