WWEスーパースターに影響を与えていたKENTA
さて、これまでもWWE入りした日本人選手はいますが、KENTAの場合はかつてない破格の扱いを受けています。あのWWEの生ける伝説ハルク・ホーガン立ち合いでの公開契約、そして公式ウェブサイトでもすぐさま取り上げられてトップレスラーのトリプルHが副社長のポール・レベック(本名)として「KENTAがWWEと契約したことは、世界のファンのために、常に様々なキャラクターのスーパースターやディーバを作り出している我々のたゆまぬ努力の結果だと言えるでしょう」とコメントを発表したのは異例中の異例と言っていいでしょう。また、WWEインターナショナル常務取締役兼上級副社長のエド・ウェルズ氏は「KENTAはWWEの未来です」と表現し、西住幹太WWEジャパン日本代表は「誰もが知っている日本人選手がWWEのステージに立つことが我々の夢でした」と語っています。なぜWWE首脳陣がこれだけの期待を寄せるかというと、KENTAにインスパイアされたWWEスーパースターが多く存在するからです。たとえば、多彩なテクニックで世界ヘビー級王者にも君臨したCMパンクの決め技GTSはKENTAのオリジナル技Go2sleep(ゴー・トゥー・スリープ)です。年間最大のイベント『レッスルマニア』の今年度大会でヒーローになったダニエル・ブライアンの決め技ランニング・シングル・レッグ・ハイニーもKENTAの代名詞であるブサイクへの膝蹴りです。インターネットを通じて、こうした事実をアメリカのマニアックなファンは知っています。KENTAは以前から日本のスーパースターとして認知されているのです。昨年2月に南米チリに遠征した時には客席から「アーリガート!」(ありがとう!)のコールが起こるなど、KENTAのプロレスマニア間での知名度は世界規模なのです。それをWWEが放っておくわけがありません。WWEで活躍することにより、KENTAの名前はプロレスの枠を越えてさらに広く浸透していくはずです。
ハイクオリティーの試合が期待されるNXTデビュー
今後のKENTAの予定ですが、7月16日に渡米して1月に練習したパフォーマンスセンターに入ります。この施設は7つの練習用リング、最先端のトレーニング設備、映像コンテンツを制作するスタジオがあります。まずはここでスキルアップ、コンディション調整はもちろん、WWEに欠かせないパフォーマンスを学びます。パフォーマンスセンターの映像はコネチカットのWWE本部にあるビンス・マクマホン代表、トリプルH副社長の部屋でもチェックできる仕組みになっていて、期待の大きいKENTAだけにこの2人のゴーサインが出た段階でNXTというブランドのテレビ番組でデビューすることになります。現在NXTのチャンピオンはドラゴンゲートや新日本プロレスで活躍したエイドリアン・ネヴィル(前名PAC)、そのライバルにはやはりドラゴンゲート、DDTで活躍したサミ・ゼイン(前名エル・ジェネリコ)がおり、彼らと闘えば、ハイクオリティーの試合になることは間違いなしです。WWEでは、それまでとは違う名前、キャラクターでデビューさせるのが通例になっており、KENTAをそのままKENTAとしてデビューさせるのか、それとも新たな名前とキャラクターになるかは本部の判断に委ねられます。KENTA本人は「基本的に僕はKENTAですが…何でもやります。TOYOTAでもTANAKAでも何でも」と苦笑。KENTAがどういう形で、いつNXTデビューするのか? 海の向こうからのニュースを期待して待ちましょう。