見学会に参加し「場数を踏む」ことの重要性
ただ、年齢層ではやはり30~40歳代の方々が中心でした。特に21日のツアーにはお子さん連れの参加者もいて、賑やかな雰囲気になりました。「子育てをしやすい住宅に住みたい」という動機をお持ちの方が多かったように思われました。参加された方々には、アンケートをお願いしていました。その内容をみると、最も多いコメントは「住宅取得や住まい選びのポイントがよくわかった」という内容でした。こんなコメントをいただけたことは、ガイドとして大変良かったなと感じています。
皆さんにこのコメントから感じて頂きたいのは、住宅取得や住まい選びのポイントを知るためには、このような見学会に参加して頂くことが必須であるということです。そして、その「場数を踏む」ということがより重要になるということです。
ハウスメーカーなどが行う見学会には、私のような第三者の立場からものをいう人間がいるとは限りません。ですが、仮にそうした人物がいないにせよ、注文住宅や分譲住宅をいくつか見学することで、皆さんにはその違いが次第に分かってくるはずです。最初は「何となく」でいいのです。場数を踏んでいけば、「何となく」が「明確な違い」として見えてくるはずです。
一度で住宅の善し悪しを見る目が養われるわけではありません。今回参加された皆さんにも、「今後も見学会などに積極的に参加してください。その場数を踏むことで、より良い満足度の高い住宅取得に近づけるはずです」とお話ししました。
他の参加者の質問や話を聞くこともメリットになる
また、このような見学会に参加するメリットとして、他人の疑問や意見に接することができるということがあると思います。皆さんもそれぞれ、住宅取得について様々な疑問や不安をお持ちだと思いますが、見学会の中で他の参加者の質問を聞くことで、新たな視点が生まれてくるはずです。見学の途中、質問を受け付けているところ。他の参加者の質問や意見を聞くことで、新たな発想が生まれ、それによりより良い住宅取得の知識獲得につながるはずだ
30年後も住みやすい家は、実物のどこを見ればいい?
さて、今回のツアーで参加された方々に説明したことを少しだけご紹介しましょう。特に強調したのは、「20~30年後に住みやすい家であるか」を見るためにどんなポイントがあるのかということでした。そしてその答えとして、「階段を見ると分かりますよ」と指摘しました。急傾斜の階段というのは、長い目で見ると実は危険。そういうところに配慮がない住宅会社というのは生活シーンをあまり重視していない会社といえるのです。言葉を換えると、安易に間取りの広さを確保しようとすると、階段というのは傾斜が急になり、階段の踏み板も狭くなりがちなのです。そうなると、将来、身体の機能が衰えた時、この家は住みやすいと思いますか、という感じです。
なぜ、このようなお話をしたかというと、住宅取得では「イニシャルコストの安さ」で判断される方が多いからです。でも、その安さは安全や安心に配慮がないから実現されたものかもしれないということに気付いて頂きたかったのです。ということを実物件から説明できたのが、今回の見学会に参加していただいたことの意義だと思います。
ところで、最後に私の感想ですが、実際に住宅取得を検討されている方々と分譲住宅を見学することで、これまで見えていなかったポイントがいくつも出てきました。「こんなことに注目するんだ」と。それは私にとってすごく新鮮な出来事でした。
私は通常、ハウスメーカーの取り組みを中心に取材していますが、それだけでは分からないことがたくさんあるということを改めて確認した次第。今後、同じようなツアーが行われるかは未定ですが、何かの機会に皆さんとご一緒して、住宅取得についての意見を交わせることがあればいいな、と感じています。