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日本株が今ひとつ上昇しきれない理由とは

世界的にリスクオン状態となるなか、日本株は好調を保っているものの今ひとつ元気がありません。その理由について考えてみたいと思います。

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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日本株が今ひとつ騰がりきらないのは米国金利上昇が要因

世界的にリスクオン状態になる中で、日本株が今ひとつ騰がりきらない理由について分析します

世界的にリスクオン状態になる中で、日本株が今ひとつ騰がりきらない理由について分析します

相場の雰囲気を敏感に反映するナスダック総合指数は3月中旬以降の大幅調整から立ち直り、このところ最も良く上昇。年初来高値更新を繰り返し、ジリジリとした上昇ペースが続いています。

ナスダック総合指数は50日移動平均線からの乖離率が+5%を超えてくると、一旦過熱を冷ます(調整する)癖があります。この癖は2012年半ば以降、特に規則正しくなっています。6月27日(金)時点でも既に50日移動平均線からの乖離率は4.5%です。今回も加熱を冷ましながらも50日線を下回らずに耐え続け、再び上昇に向かえば、今回の上昇トレンドは「サマーラリー」に発展し、数か月単位の息の長い上昇トレンドとなる可能性があります。

その一方で、日本株は好調を保っているものの今ひとつ元気がありません。ナスダックが最高値を更新しているということは世界的にリスクオンの雰囲気になっているわけですから、スルスルと上昇していっても良いところです。しかし、実際にはそうなっていません。その原因は何かというと、為替が円高に振れていることだと思います。このため、日本株は騰がりきれないでいます。

ではなぜ円高になっているかというと、米国の金利が急低下しているためです。ここのところ発表されている米国の経済指標は悪い数字が続いています。特に6月25日に発表された米国の2014年第1四半期のGDP成長率は改定値の-1.0%からさらに下方修正され、-2.9%となっています。この結果、景気を支えるために米国の量的緩和政策や低金利政策が予想よりも長引くとの思惑から米国の金利が下がっているのです。

お金は金利が低いところから高いところに流れますので(みんな金利の高いところに預金したいからです)、これが円高につながっています。実際のところ、ここのところの米国10年物国債金利とドル円相場は値動きはそっくりです。米国金利が上がれば円安に、下がれば円高へと綺麗に反応しています。ちなみに、緩和策が長引けば長引くほど米国株にはプラスなため、米国株はここのところの経済指標にもかかわらず上昇を続けているのだと思います。これが最近の米国株上昇、日本株は上昇も上がりきれない、円高が同時に起こっている背景です。

今後の米国の経済指標しだいでは、日本株は騰がる!?

それでは、今後の見通しがどうかですが、1万5000円超えの日経平均、どこまで上がるのか!?でも書きましたが、まず、米国の2014年第1四半期のGDPは大寒波が影響してGDPが押し下げられています

したがって、第1四半期のGDPが弱くてもそれほど気にする必要はないと思います。一番重要なのは第2四半期以降にどうなるかということです。しかし今回、第1四半期のGDPが再度、大きく下方修正された分、第2四半期や今後の経済指標は、それなりの数字さえ出てくれば、やはり予定通りテーパリングは進むとの安心感から、米国の金利は上がるのではないかと思います

また、需給面を見ても、欧州のマイナス金利導入などによって世界的にリスクオン状態となっている中で、前述のようにナスダック総合指数が年初来高値の更新を連発し、日本株への外国人投資家からの買いも回復の兆しを見せています。したがって、ここで円安となれば、米国株に出遅れ感がある日本株も一段の上昇へと向かっていけるのではないかと思います

参考:日本株通信

※記載されている情報は、正確かつ信頼しうると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性または完全性を保証したものではありません。予告無く変更される場合があります。また、投資はリスクを伴います。投資に関する最終判断は、御自身の責任でお願い申し上げます。
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