ボランティアが担う役割
前のページでご紹介したように、南境第5団地の慣れない仮設暮らしで住民同士が助け合う関係を築けたきっかけとなったのは、ボランティアのサポートによるイベント開催でした。大学の先生、学生、企業などさまざまなボランティアが訪れ、イベント企画、移動図書館、炊き出し、カラオケセットの貸し出しなどを行い、それぞれが住民のコミュニケーションを形成するうえで役に立ちました。取材当日は、部屋清掃のボランティアが入っていました。仮設住宅ならではの課題であるカビ対策、遮熱性を高めるスプレーの塗布や、ご高齢の方々の手が届きにくい換気扇やエアコン、網戸の清掃等をしていました。
企業の取り組み:新入社員による復興支援活動
網戸の掃除をするボランティアのみなさん
新入社員の方にお話しを伺うと、ボランティアの回数を重ねるごとに、ただ清掃を行えばよいということではなく、コミュニケーションを取って心の支えになることが大事だということ、住宅メーカーの社員として、人の生活を育む場としての住まいを提供する事に対し気が引き締まった、などそれぞれが何かを感じ取ったようすでした。
新入社員の清掃活動を見守る積水ハウスの東瀬氏
被災地と支援したい人を結ぶNPOの役割
特定非営利活動法人石巻復興支援ネットワーク理事の渡部氏
元々は石巻の子育て支援を行っていましたが、震災後に被災地の復興支援を目的としたNPO法人に生まれ変わり、企業やNPO、行政と連携し、支援活動を行っています。スタッフは主に地元のママたちで構成されており、みんなが主役となる復興を実現するためのイベントやセミナー、ママたちが作るハンドメイドアクセサリー等を販売しています。
私たちにできること
東日本大震災から3年たち、被災して仮設住宅に住む人や、支援を行うボランティアの形は月日の流れとともに変化しており、その時々に必要な支援を行うことが大切なのだと思いました。遠くにいて支援ができず歯がゆい思いをしている方もいるかもしれませんが、例えば寄付はまだまだ受け付けており、今日ご紹介した特定非営利活動法人石巻復興支援ネットワークでもホームページから申し込むことができます。目に見える支援が難しい場合でも、まだ仮設住宅で生活していらっしゃる方がたくさんいることを忘れず、震災を風化させずいつまでも覚えていること、復興の様子を気にかけていることも、私たちができる支援のひとつになるのではないでしょうか。
【関連サイト】
積水ハウス株式会社のCSR・環境活動
特定非営利活動法人 石巻復興支援ネットワーク「やっぺす!」
Copyright(c)2014 住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所 All rights reserved.