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石巻の仮設住宅の暮らしとボランティア(2ページ目)

仮設住宅において、見ず知らずの人たちが集まってどのように信頼関係を築いていったか、そして支援するボランティアの役割は?震災から3年経った石巻の仮設住宅を取材しました。

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド


任せる、感謝する、共有する、責任をとる

大嶋さんに自治会のリーダーとして心がけていることを訪ねると「ある程度のことはお任せする」「みんなへ感謝する」「自分がエライと思わない」「なんでも情報は共有する」「最後は自治会長が判断を下す」など、キーワードが飛び出しました。これは、どんなコミュニティにも共通する成功のコツではないでしょうか。

夜に見回りパトロールをして仮設団地の安全を確認している

夜に見回りパトロールをして仮設団地の安全を確認している


大嶋さんも自ら夜のパトロールを行って住民の安全を確認しているそうです。たいへんなことだと思いますが、自ら率先して住民のために行動を起こすという姿を周りの人はみて、きっと何かを感じているのだと思います。このようなリーダーがいてこそそれぞれが自ら考えて自ら行動するという環境ができているのだと感じました。

今後への見通し

そのように良好な関係を築けている仮設住宅での暮らしですが、いつかは終わりがやってきます。すでに自力で自宅を再建した人、復興公営住宅に当選して出ていった人などもおり、仮設に空き家も目立ちはじめてきました。そんな中、自治会長の大嶋さんも先日復興公営住宅の抽選に当たり、2年後に引っ越すめどが立ちました。

このように先が見えてきたことや、ここ第5団地のことだけでなく自治体が主催する仮設住宅全体のネットワーク会議に出席して基盤ができてきたことなどもあり、今は先を見据えた活動を行っていると笑顔で話してくださいました。本当は、ここを離れるのは淋しいけれど、いつかはそれぞれが自立していかなければならない、この仮設住宅での暮らしで育ったのはこの「自立心」です、とおっしゃいました。

次のページでは被災地の暮らしを支えるボランティア活動について。

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