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2020年を見据えた次世代スマートハウス実験棟が登場(2ページ目)

さいたま市内にこのほど積水ハウス、HONDA、東芝による次世代スマートハウスの実証実験棟が完成しました。今回の記事はそのレポート。2020年の住まいや暮らしをいち早く先取りできる内容です。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

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スマートハウスの技術の一つにV2H(Vehicle to Home、ヴィークル・トゥ・ホーム)があります。これは、住宅と大型の蓄電池を有するクルマ(EV=電気自動車、PHV=プラグインハイブリッド車)の間で電力を融通するシステムで、今後のスマートハウスの発展を考える上で大きな要素となると考えられます。

なぜ、V2Hシステムは必要なのか?

一方で、皆さんは次のような疑問をお持ちではないですか。「V2Hってなぜそんなに重要なの」と。実は私もこのような疑問をずっと持っていたのですが、分かっていませんでした。しかし今回の取材で、その理由をよりよく理解することができました。

自動駐車

「EVフィット」が自動で駐車場に入っている様子。いよいよ無人運転が実用化の目前に迫っていることを実感させられた(クリックすると拡大します)

では、V2Hが必要な理由とはどんなことでしょうか。それは、現在のクルマの稼働状況を考えれば分かります。平日の稼働状況の平均をみると約9割が使われていないそうです。で、将来的にクルマがガソリン車からEVなどに替わると、その9割が住宅などに余剰電力を貯め供給できる蓄電池となります。

V2Hを備えたスマートハウスとEVなどのクルマが普及することで、現在よりエネルギー使用やエネルギーロスが少なくなり、結果的にCO2の発生が少ない環境に優しい省エネな社会づくりに大いに貢献できるというわけなのです。

ご理解頂きたいのは、EVなどというクルマの世界が、これからの住まいの中により便利なツールとして普及しようとしていることであり、その背景にはしっかりとした理屈があるということなのです。2020年の住まいや暮らしというのは、このようなシステムによってより環境に優しくなると考えられるのです。

このほか、実証実験ハウスでは、「EVフィット」による自動駐車と非接触充電の様子なども公開されました。自動駐車とは、運転手がいなくても自動でガレージに駐車するシステムで、運転が苦手な人には重宝しますね。

非接触充電は、文字通りプラグなどの充電設備を用いずに充電できる仕組み。システムの詳しい説明は省きますが、今の時代、そんなことも可能なのだということが今回よくわかりました。いずれも、これらがあることで家庭内でのEVを利用する際、利便性や普及に向けた課題を検証しているのです。

エネルギーの融通、シェアのあり方についても検証

ところで、この建物は完全分離型の二世帯住宅(1階が親世帯、2階・3階が子世帯)であることをすでにご紹介しました。実はそこにも明確な狙いがあるのです。このような世帯構成とすることで、昼間外出している子世帯と昼間も外出することが少ない親世帯の間で電力や熱を融通する上でどのようなスタイルが最も適正なのか、確認できるわけです。

非接触充電

クルマの下にあるのが非接触充電用の設備。電子レンジの原理と同じ仕組みで、多少温度は高くなるが人や動物が感電することはないとのこと(クリックすると拡大します)

そしてこの建物を2棟と見立てれば、エネルギーを融通するコミュニティと見立てることも可能だといいます。具体的には、「エコウィル」(家庭用燃料電池、ガスエンジンコージェネレーションユニット)で発電した電力とお湯をコミュニティで効率的に融通するシステムを検証しようという取り組みを行っているものです。

これが可能となれば、これまで住宅1棟だけでなくコミュニティ単位で最適なエネルギー管理が行えるようになるわけ。そうしたことを東芝が開発したμCEMS(マイクロ・コミュニティ・マネジメント・システム)などを駆使し、実用性を検討しているのです。

HONDAは「エコウィル」や太陽光発電システムも供給するなど、生活に近いところで仕事をしている会社であるため、住宅や家電も含めてトータルに生活におけるCO2削減に取り組もうという発想が出てきたそうです。

なお、東芝はμCEMSのほか、スマートメーターや太陽光発電システムと連携するリチウム蓄電池、スマート家電とHEMS、さらには4Kテレビなどを設置することで、実証実験ハウスにおける研究に貢献していました。

今回の実証実験ハウスの取材で感じたのは、それぞれの企業が得意分野を持ち寄ることで、私たちの暮らしや社会に貢献する住まいや製品、サービスがどんどんと生まれようとしていること。2020年という結構近い将来には、それらがある程度当たり前になっているかもしれません。
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