そこで今回は、初心者の方が浴衣を着る際に特に多い、「衿が上手く抜けない」「衿が被ってきてしまう」、「帯の後ろが下がって落ちてしまう」という3つのお悩みについて、その対策をお伝えします。
浴衣の衿被り対策
和服の女っぷりは衣紋の抜けで決まる!
■衣紋の抜きは最重要
和服を着る場合「着慣れた感」が一番出るのが衿元。特にこの衣紋がキチンと抜けているかどうかで、着物や浴衣が自分のものになっている(ように見える)かが決まってきます。つまり、後ろ衿の抜け=衣紋の抜きというのは、それひとつで着物姿の雰囲気を決めてしまうほど重要な箇所といえます。
にも関わらず、特に初心者の方にはこれをちゃんと自分でコントロールするのが意外に難しく、首にピッタリくっついて男性かお子様のようになってしまっていたり、初めはキレイに抜けていたのに、しばらくすると前に被ってきてしまったという人をよく見かけます。
そもそも、「衿の抜き」ってどのくらい抜ければいいの? というと、女性の場合一般的には格の高い着物ほど、大きく抜くとバランスが良いとされています。
そこからすると、格が低い浴衣はあまり抜かない方が良いということになるのですが、和装は直線縫いでできたものを自分に合わせて着付けていくという特徴のある衣服。体型やヘアスタイル、着物の格、また着物のイメージや自分のなりたい雰囲気などによって変化があっても良いのではと思いますし、何より浴衣は暑い時期に着るものなので、あまりカチカチにやってしまうとそれだけに暑苦しく見えてしまいます。
ですので具体的には指3本~こぶしがひとつ入るくらいに抜くのを基本として、もう少し女っぷりを上げたいという人はあと指2本ほど足してもOK。ただし、この場合は、あくまでも縦方向に抜くことを心がけて下さい。
■具体的な対策は
長襦袢を着る場合は、補正や長襦袢の後ろ衿のところに短冊などを付けることで、ある程度の衿の被りをカバーすることが可能ですが、浴衣の場合には長襦袢を着ないし、補正も最低限のものしかしないので、それができません。つまり、浴衣の場合、それ自体の衿だけで衣紋をコンロールする必要があるワケです。
なので、まず浴衣を着る段階で衿の抜き加減をいつもより意識して確認していくという作業が必要です。着物を着る場合と浴衣を着る場合の衿の決め方を見ると分かるように、浴衣の場合は腰紐をしてから、左右の共衿(ともえり)を顔の中心に合わせて、背縫いを持って背縫いが背中の中心にくるように合わせています。このように、浴衣の場合は背縫いを下に引くことで衣紋の抜きを作っていきます。
また、後で衿が前に被ってきてしまった場合にも、背縫いを下に引くことで、修正できます。この場合に、帯結びの下の背縫いの一番外側になっている1枚だけを引く事。全体を引いてしまうとうまく抜けませんし、腰紐が緩んでしまう原因にもなりかねません。
さて、次はもうひとつのお悩み「帯の後ろ落ち」についてです。