マレーシア/マレーシアのグルメ・レストラン

マレーシアの手打ち麺「パンミー」

マレーシアのパンミー専門店は、かならず自家製の手打ち麺で勝負をしています。モチッ、ツルッとした生麺の最高なこと! 毎日その日の分だけ作り、麺が無くなったら営業終了。マレーシアの麺料理は種類豊富にありますが、打ちたての麺が味わえるパンミーはとても貴重!

古川 音

執筆者:古川 音

マレーシアガイド

絶品の手打ち麺! 中国系のマレーシア料理、パンミー/板麺

パンミー

パンミースープ。煮干しでとった、ふくよかなだしのスープヌードル

私のいちおし麺料理、パンミー。うどんに似た小麦粉で作る麺料理で、専門店はかならず自家製の手打ち麺で勝負をしています。モチッ、ツルッとした生麺の最高なこと! 毎日その日の分だけ作り、麺が無くなったら営業終了。マレーシアの麺料理は種類豊富にありますが、打ちたての麺が味わえるパンミーはとても貴重です。

パンミーは中国系の料理です。看板に漢字で「板麺」と書いてあるお店を探しましょう。パンミーの基本の味は、煮干しのだしが効いた透明のスープ麺。また、甘辛のタレを絡めたドライパンミー、じわっと辛いチリパンミーなど、アレンジバージョンも人気です。

パンミーの歴史

ブキビンタンの老地方

ブキビンタンにあるパンミー専門店。昼14時ごろには営業終了

パンミーは、マレーシアで生まれた中国系料理といわれています。生地をこねたあと、板状に麺をのばすことから、「板麺」という名前になりました。

専門店が生麺にこだわるのは、パンミーの発端が家庭料理にあるからです。実際、知人のマレーシア人は「パンミーは家で食べる料理」と言います。彼のお母さんはパンミーをよく作ってくれたそうで、とくに幼い頃は、外でパンミーを食べることは無かったとか。日本でいえば、山梨県のほうとうや熊本県のだご汁のように、家庭で作る気取らない麺料理なのです。

パンミーの種類

パンミースープ

幅広のパンミー麺。塗り箸では持ち上げにくい滑らかな麺

パンミーの麺の形状は、おもに3タイプ。刀削麺のようなちぎり麺、きし麺に近い平打ち麺、ラーメンのような細麺。スープやタレの種類によって選ぶ麺の形状が異なります。

スープやタレのバリエーションも大変豊富です。激辛の麻辣パンミー、中国漢方を煮込んだハーバルパンミー、酸味と辛味が同時にグワッと襲ってくるアッサムパンミー。さらに、麺にカボチャやホウレン草を練り込んだりカラフルなパンミー麺など。

こんなにも種類豊富なパンミーですが、どのパンミーにも共通している食材が3つあります。1つは煮干し。マレーシア語でイカンビリスといいます。スープのだしや、カリカリに揚げて具に。2つめは椎茸。うま味をプラスするために必須。3つめはサユマニスという葉っぱ。モロヘイヤのような形状ながら、繊維質が多くて、歯ごたえはまるで野草。そこら辺で生えている単なる雑草では?と不安になるのですが、これがスープに甘みを加えるため、パンミーにはマスト。

この3つがパンミーに欠かせない食材。別の言い方をすれば、この3つさえあれば、それがどんな姿であれ、パンミーなのです。

それでは、パンミーを4種類、紹介します。

パンミーの基本系。パンミースープ

パンミースープ、ちぎり麺

パンミースープ。麺はちぎり麺を選択。別皿で、サンバルソースか唐辛子醤油が出てくるので、スープに少しずつ加えながら味の変化を楽しむ


オリジナルのパンミーです。だしのきいた関西のうどんのようで、体も心もほっこり温まります。具は、豚のそぼろ肉、香ばしい揚げ玉ねぎ、そして、カリカリに揚げたイカンビリス(煮干し)。このイカンビリスのほろ苦さが、モチモチ麺に合う! 追加で卵をトッピングしてもおいしい。

パンミースープは、しこしこの平打ち麺もいいのですが、おすすめは、写真のようなもっちりとした食感のちぎり麺。クアランプールなら、広東語で「ミッ」と注文します。パンミーの麺はツルツルしているので、塗り箸では持ちにくく、レンゲですくって食べましょう。

さっぱり味わいたいなら、パンミードライ

パンミードライ

パンミードライ。こちらはパビリオン地下のフードコートの料理。コリコリとした木耳が入っているのがこの店の特徴

パンミーのもちもちとした食感、そぼろ肉のうま味を味わいたいなら、ドライがおすすめ!オイスターソース系の甘辛タレを平打ち麺、または細麺にからめていただきます。

パンミーに欠かせないサユマニス(緑の葉)の入ったスープは別皿で提供。麺が乾いてくっついてしまったら、このスープを麺にまわしかけて、ほぐしながら食べるのが現地流。

爆発的ヒットを飛ばした大人気のチリパンミー

キンキン

チリパンミー。ドライパンミーに特製のチリタレをのせて。コクのある辛味にハマる人が続出

チリタレ

お店特製のチリタレ。唐辛子、玉葱、豚の脂身など色んな食材が入っている。お店ごとに自家製タレにこだわりがある

最初にチリパンミーを食べたときは衝撃的でした。この小さな1杯に、こんなにも色んな味があるなんて!ジワーッと広がる唐辛子の辛味に、半熟卵のまろやかさが覆いかぶさり、イカンビリスのカリカリした食感と豚の脂身のまろやかなコク。とにかく、複雑ともいえる、色んな味がこの麺料理のなかに潜んでいて、2杯食べても飽きません!

基本はドライ麺です。そこにお店特製のチリタレを好みの量、加えます。小さじ1杯ぐらいが私にはちょうどいい辛味。

このチリタレがすごい。乾燥唐辛子、玉葱、生姜、ラー油、豚の脂など、10種以上の材料を長時間かけて火入れ。うまみたっぷりで、コクのある辛味がたまりません。日本で一世風靡をした“食べるラー油”に似ています。ちなみに、このチリタレ、お店の常連だった友人が頼み込んで譲ってもらい家でインスタントラーメンに追加。すると、すばらしく激ウマだったそうです!

パンミーは、日本人が思い描く、いわゆる香辛料の効いたアジア料理とは違います。とくにスープ麺は、和食に通じるやさしいだしの味。これもたしかにマレーシアの味なのです。マレーシア人と日本人の味覚の共通点を実感できる料理ともいえます。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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