資産運用/投資初心者にもできるカンタン資産運用法

資産運用で「通貨分散」の必要性とは何か(2ページ目)

私たち日本人の大多数は、日本で生まれ日本で亡くなることから「円」以外の通貨を持つ必要はないのでは?という質問を受けることがあります。確かに、日本国内で生活している場合、仕事や旅行などで海外に行かない限りは円以外の通貨を使う必要はありません。しかし、私たちの生活は為替レートの変動に大きく影響を受けているのです。今回は通貨分散の考え方について解説しましょう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

お金の悩みに答えるマネープランクリニックガイド

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国際分散投資で価格変動を抑える

国際分散投資を行うことで、円の価値の低下を外貨の価値の上昇で補うことができることから、ポートフォリオの価格変動は、円という単一の通貨による分散投資よりも価格の振れ幅を抑えることができます。図は、国内外の株式、債券の代表的な指数の動きです。

※国債=国内債券=NOMURA-BPI総合、国株=国内株式=TOPIX(配当込み) undefinedundefined外債=外国債券=シティグループ世界国債インデックス、外株=外国株=MSCIコクサイ、4組=均等に分散 undefinedundefined単位:%、データは年度ベースのもの、出所:企業年金連合会

※国債=国内債券=NOMURA-BPI総合、国株=国内株式=TOPIX(配当込み)   外債=外国債券=シティグループ世界国債インデックス、外株=外国株=MSCIコクサイ、4組=均等に分散   単位:%、データは年度ベースのもの、出所:企業年金連合会



国内債券はNOMURA-BPI総合、国内株式はTOPIX(東証株指数)配当込み、外国債券はシティグループ世界国債インデックス、外国株式はMSICコクサイです。それぞれの指数の変動に、これら4つの指数に25%ずつ均等に国際分散投資したと仮定した場合の変動を加えました。国内の株式、海外の債券や株式と比較すると、4つの指数に均等に分散投資したケースの騰落率の振れ幅が小さくなっていることがわかります。

『「国際分散投資」における資産分散の重要性』で述べた、国内債券50%プラス国内株式50%の国内資産だけのポートフォリオより、下落の幅こそ大きくなっていますが、価格変動の振れ幅はやや小さくなっているのです。

国内資産だけのポートフォリオでは、最も上昇したのは24.70%、最も低かったのは-16.72%で、上下の振れ幅は41.42%でした。一方国際分散投資のポートフォリオは、上昇が19.36%、下落は-20.98%で、上下の振れ幅は40.34%でした。しかも、ポートフォリオの収益率がマイナスになった回数は、国内資産だけのポートフォリオが7回でしたが、国際分散投資は5回と少なくなっているのです。

比較対象期間が17年と短いことから、この期間の検証だけで判断を下すのは危険と言えますが、国際分散投資を行った場合、国内資産だけの分散投資と大幅に振れ幅が異なることは少ないと考えられます。

注意したいのが、4資産均等の国際分散投資(ポートフォリオ)は全て先進国の債券と株式に分散投資した場合に過ぎません。近年の国際分散投資では、海外資産は新興国の債券や株式のほか、代替資産への投資としてREIT(不動産投資信託)、債券や株式などの伝統的なペーパー資産の保全として金などの商品(コモディティ)をポートフォリオに加えるのが主流になりつつあります。

ポートフォリオ運用におけるリスクも多様化していることから、国際分散投資も進化し続けているのです。
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