年収200万円時代に考えるお金サバイバル術/藤原和博さんの「新」人生論!家計サバイバルの方法

35歳のサバイバル、ブランドを追わずに「自分で作る」

「少ない年収で幸せに生きるには、頭の柔らかさや賢さが必要」と言うのは教育改革実践家の藤原和博さん。30代がサバイバルをするためには、みんな一緒”から“それぞれ一人一人”の価値観を大事にすることだといいます。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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“みんな一緒”から“それぞれ一人一人”の時代へ

藤原和博さんundefined撮影/(C)IHA

藤原和博さん 撮影/(C)IHA

リクルートのトップセールスマンを経て、民間初の校長に転身――。様々な改革を実践してきた藤原和博さんに、全7回にわたって、年収200万円時代を“幸せに”サバイバルするための戦略を指南してもらいました。第5回目の記事『地方や海外に移住し、固定費を下げる』から続きます。

――以前、「“みんな一緒”から“それぞれ一人一人”の時代にすでに変わっている」と伺いました。今後、どういう視点をもてばいいでしょうか?

藤原和博さん “右向け右”をやめて、1人1人が自分の価値観を大切にすることです。ブランドに振り回されたり、ミシュランに載っているような話題の店に並んで喜ぶ。そういう意識はもう捨てることです。本来、一番うまいのは家庭料理。パートナーや仲間と一緒にキッチンで作って、キッチンのカウンターでそのまま食べるのが一番うまいに決まってます。もしくは、家のそばで美味しいものを出すような店を探して、そこを利用する。“みんな一緒”から“それぞれ一人一人”という個人の価値観で生きることです。

例えば、欧米では“保険”も個人主導型の流れができています。日本では保険というと、保険会社や代理店から加入するのが一般的ですが、欧米では、その人に見合ったものを設計してくれる個人の保険ブローカーが中心。最近、日本でもそういうところがあるけれど、親の世話になって加入しているような、みんな一緒タイプの保険は、一度見直すべきでしょうね。

――確かに、欧米にはいろんな個人ブローカーがいますね。

藤原 この数十年で個人ブローカーが全体の約7割に達しました。最初は、ほとんどが代理業者だったことからみても、いずれ日本も、あらゆるものが個人主導型に再編されていくと思います。そういう時代を生きるには、自分の価値観、自分の軸で生きる賢さが問われます。年収の低いひとこそ、そういうことに敏感になれる可能性が高い。代理人や業者を通じてモノを買うと、15~30%くらいのマージンが乗るわけですから、それを節約するためには、“自分で作り出す”という意識を持つことです。

――“みんな一緒”に安心するのではなく、そこから脱して個人の価値観を持つ。ある意味、日本人が一番苦手としていることかもしれませんね。

藤原
 そのためには義務教育から変えないとダメ。“真ん中が7割いる”という前提で一斉授業をやっているのが今の教育。もはやどこにもいない“標準世帯”があたかもいるかのように、サポートしようとしている。だいたい統計データが2極化しているのに「平均」を出すことに、なんの意味もないんです。それを早くみんなが認識すべきだし、変えていかないといけないと思っています。

★次は稼げる人になるためのキャリアの作り方です

教えてくれたのは……
藤原和博(ふじはら かずひろ)さん
教育改革実践家/杉並区立和田中学校・元校長/元リクルート社フェロー

1955年東京生まれ。78年東京大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任後、93年よりヨーロッパ駐在、96年同社フェローとなる。2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校校長を務める。08年~11年、橋下大阪府知事の特別顧問、14年~佐賀県武雄市の教育政策特別顧問に。キャリア教育の本質を問う[よのなか]科が話題に。詳しいプロフィールはホームページにて「よのなかnet」http://yononaka.net

『人生の教科書[よのなかのルール]』『人生の教科書[人間関係]』(ちくま文庫)など人生の教科書シリーズ、ビジネス系では『リクルートという奇跡』、情報編集力の本質を和田中での改革ドキュメントとともに解説した『つなげる力』(ともに文春文庫)、『35歳の教科書―今から始める戦略的人生計画』『藤原和博の必ず食える1%の人になる方法』など著書多数。最新刊はコミュニケーションと対人関係が苦手な日本人のための手引き『もう、その話し方では通じません』(中経出版)。

取材・文/西尾英子
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