年収200万円時代に考えるお金サバイバル術/藤原和博さんの「新」人生論!家計サバイバルの方法

アナタの年収どう上げる?「稼げる」人になる方法

「少ない年収で幸せに生きるには、頭の柔らかさや賢さが必要」と言うのは教育改革実践家の藤原和博さん。最終回では、30代がサバイバルするための会社に頼らないキャリアの作り方を教えていただきました。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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会社に頼らないキャリアの作り方

藤原和博さんundefined撮影/(C)IHA

藤原和博さん 撮影/(C)IHA

リクルートのトップセールスマンを経て、民間初の校長に転身――。様々な改革を実践してきた藤原和博さんに、全7回にわたって、年収200万円時代を“幸せに”サバイバルするための戦略を指南してもらいました。第6回目の記事『ブランドを追わずに「自分で作る」』から続きます。最終回は30代の働き方についてお教えいただきます。

――会社に頼らない”自分のキャリア”を磨くには、どうしたらいいのでしょうか?

藤原和博さん
 ひとつの分野で1万時間を投じて学べば、たいていプロレベルにまで極めることができるものです。僕はリクルート時代、20代で営業とプレゼンを1万時間以上実戦したから、ベースとなる足場が作れました。次に、27歳から37歳の10年間で、リクルート流マネジメントを同じく1万時間以上実戦して、2つ目の足場を作った。その後、成熟社会を研究するべく、ヨーロッパに駐在し、帰国後フェロ-になるわけですが、このままずっと同じことをやり続けたら、どんどん自分の価値が減っていくと考えたんですね。そこで、47歳でこの2つの足場からドンと踏み出して、公教育の世界に挑んだわけです。

――民間初の校長として、話題になりました。

藤原 ノンプロット(非営利)の世界で、営業+プレゼンとリクルート流のマネジメントというこれまで築いた2つの力が通用するかにチャレンジしたわけですね。実は、9割の人は「やめておけ」と言ったんです。だって、リクルートのような会社と学校では100%風土が違うでしょ。けれども、それが成功したことで、3つの足場ができて、三角形になった。三角形の面積の広さは、他人から与えられる信任(クレジット)の総量であり、信頼と共感の関数ともいえます。この面積が広くなったことで、3つをフルに活用すれば年間数千万円のお金に換えることも可能になりました(ただし、すべてを換金しなければ時間の自由度が増します)。でもそれは、2つの足場から離れたところに思い切って飛び出したからなんです。

――“三角形”を作っていくには、どんなふうにすればいいのでしょうか?

藤原 まずは、1つめの足場となるものを作ることです。20~30代のうちに1万時間を投じて、その分野で100人に1人の存在になる。次に、その足場の近くに、同じようにもう1つの足場を築いて、左足と右足の立ち位置を作ります。そしてできれば、40代くらいで、この2つの足場から離れたところへと飛び出し、もう1つの軸足作りに挑む。三角形の面積が広いほど希少価値が増して“稼げる人”になることができます。それはつまり、自由度が圧倒的に増すということです。

間違えて欲しくないのは、ピラミッド構造の頂点を目指すのではないということ。キャリアを横方向に広げて、独自の職種を作ればいいんです。僕の今の肩書きは、「教育改革実践家」というもの。校長をやったのは5年ですが、目の前の児童生徒の未来がどうやったら開けるのかを毎日10時間くらい必死に考えてきた。学校は年間200日ありますから1年2000時間×5年で1万時間。だからそこでも100人に1人の存在になることができた。今は、全国の校長先生にマネジメントを教える「校長たちの校長先生」の仕事もしています。

――まずは、ひとつの分野で「100人に1人の存在」を目指すべきですね。

藤原 1人で勝負しようとしないで、誰かとタッグを組むという考え方もあります。歯科医と歯科技工士だったり、会計と税務のプロだったり。もしくは、何かの専門家だけど、あまりネットのことは詳しくないという人と、優秀なプログラマーだけど稼ぐことはあまり得意じゃない若者が組むという手もある。例えば、パソコンオタクの若者が、ものすごく良質の「ゆず」を作る田舎のおばあちゃんと組むことで、海外にも売れるようなブランドになるということだって起こり得る。ネットの力を活用すれば、掛け合わせ次第でいろんなことができるわけです。

今は、アマチュアが投稿したユーチューブが数百万ヒットしたり、個人が新聞社や放送局を兼ねられる時代。目の前の情報を処理する“情報処理力”ではなく、情報をうまく繋げて活用する“情報編集力”が大事なんです。その力があれば、チャンスを掴むことができると思います。

★藤原和博さんのインタビューを最初から読みたい方はコチラ!
35歳以下が幸せにサバイバルするための「新」人生論


教えてくれたのは……
▼プロフィール
藤原和博(ふじはら かずひろ)
教育改革実践家/杉並区立和田中学校・元校長/元リクルート社フェロー

1955年東京生まれ。78年東京大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任後、93年よりヨーロッパ駐在、96年同社フェローとなる。2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校校長を務める。08年~11年、橋下大阪府知事の特別顧問、14年~佐賀県武雄市の教育政策特別顧問に。キャリア教育の本質を問う[よのなか]科が話題に。詳しいプロフィールはホームページにて「よのなかnet」http://yononaka.net

『人生の教科書[よのなかのルール]』『人生の教科書[人間関係]』(ちくま文庫)など人生の教科書シリーズ、ビジネス系では『リクルートという奇跡』、情報編集力の本質を和田中での改革ドキュメントとともに解説した『つなげる力』(ともに文春文庫)、『35歳の教科書―今から始める戦略的人生計画』『藤原和博の必ず食える1%の人になる方法』など著書多数。最新刊はコミュニケーションと対人関係が苦手な日本人のための手引き『もう、その話し方では通じません』(中経出版)。

取材・文/西尾英子
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