今後15年ほどでホワイトカラーの仕事はなくなっていく

藤原和博さんundefined撮影/(C)IHA

藤原和博さん 撮影/(C)IHA

リクルートのトップセールスマンを経て、民間初の校長に転身――。様々な改革を実践してきた藤原和博さんに、年収200万円時代を“幸せに”サバイバルするための5つの戦略を指南してもらいました。

――今後、私たちの働き方は、どのように変わっていくと思われますか?

藤原和博さん 現在、サラリーマンの7割近くを占めるホワイトカラーの人たちの仕事は、今後15年くらいでどんどんなくなっていくと思います。事務職などの情報処理的な業務は、無限にIT化が進むだろうし、工場はロボット化が進む。それでも残るのは、今のところ人間がやったほうが早い、モノの箱詰作業といったもの。けれどもそういった作業は、中国やインドといった国々にどんどん流れていくでしょう。グローバル化といえば聞こえはいいけれど、単純労働は基本、時給が揃っていくはずなんです。

情報処理的な仕事はIT化、工場はロボット化が進み、単純作業は中国やインドへ流れる。これは何を意味するかというと、現在、年収400~800万円くらいの人たちの仕事がゴソッとなくなるということです。今後は、大半を占める“それ以下”の人たちと、“ひと握り”の年収800万円以上の2極化が進んでいく。多くの人が年収200~400万円になることは、避けられないと思っています。

――多くのサラリーマンが今の年収を維持できなくなる可能性が強い?

藤原 今の状況が当たり前だと思うことがそもそもの間違い。これまでの20~30年が特異な現象だっただけです。「いい学校やいい会社に入ってマイホームを持つ」というこれまでの幸福論は、この先通用しなくなると思ったほうがいい。35歳~40歳の団塊ジュニア層くらいまでは、まだそういった親世代のライフスタイルや価値観を引きずっているけれど、その下の世代はそんな幸福論は忘れて、これまでとまったく違う人生観で生きていかないと、幸福にはなれないでしょう。

逃げ切れない35歳以下は、今から意識の切り替えが必要

――それはなぜでしょうか?

藤原 団塊世代は、高度成長期やバブル経済もあったラッキーな世代。バブルが弾けた時期には家のローンが払い終わっているか、少なくとも退職金で払うことができました。要は、「うまく逃げ切れた」世代です。そして、逃げ切った団塊世代の親を持つ子供たちもギリギリセーフ。今は苦しくても、将来的に家が相続できる可能性は高い。住むところさえ確保できれば、十分生きていくことができます。

けれども、本当に厳しいのはその下の世代です。不動産などのレバレッジが効かないし、これまで一度も美味しい思いを味わえていない。そして、今後もよほどのことがないと難しいでしょうね。レバレッジが効かせられないということは、一発逆転が難しいということです。

――“おこぼれは、もうない”と、著書にも書かれていらっしゃいました。

藤原 アベノミクスだってドーピングをやっているようなもので、延命措置に過ぎません。2020年のオリンピックくらいまでは恐らく持たせると思うけれど、その後ドカンとリバウンドがくるんじゃないかと思っています。今は、円安効果でメーカーが利益を出しているから求人も増えているけれど、その儲けを日本に再投資しているわけじゃない。今のうちから意識を切り替えておいたほうが、この先幸せに過ごせると思います。

――どんな意識を持てばいいのでしょうか?

藤原 これまでは“右向け右”でみんなと同じように生きていれば、幸せのレールに乗れることができた。ですがこれからは、与えられたものをそのまま受け入れるのではなく、個人が自分の価値観で生き方をデザインしていくという意識を持つことです。

日本は1997年に高度成長期を終え、98年から成熟社会に入りました。成長社会は、みんなが1つの正解に向かっていた時代。いわば、ジグソーパズルのように正解があって、ピースをはめこんでそれを作っていればよかったけれど、成熟社会で求められるのは1人1人が自分なりの価値観をみつけて生きていくこと。正解ではなく、自分の中の“納得解”に近づけていくことが大切です。

日本人は、人生の戦略を立てるのが非常に下手。ですが、生き抜くにはもっと戦略的に考えて行動すべきです。次からは、幸せになるための戦略についてお話しましょう。

★次のページから藤原さんが提言する“お金をかけずに豊かに生きるための5つの戦略”を紹介します!

教えてくれたのは……
藤原和博(ふじはら かずひろ)さん
教育改革実践家/杉並区立和田中学校・元校長/元リクルート社フェロー

1955年東京生まれ。78年東京大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任後、93年よりヨーロッパ駐在、96年同社フェローとなる。2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校校長を務める。08年~11年、橋下大阪府知事の特別顧問、14年~佐賀県武雄市の教育政策特別顧問に。キャリア教育の本質を問う[よのなか]科が話題に。詳しいプロフィールはホームページにて「よのなかnet」http://yononaka.net

『人生の教科書[よのなかのルール]』『人生の教科書[人間関係]』(ちくま文庫)など人生の教科書シリーズ、ビジネス系では『リクルートという奇跡』、情報編集力の本質を和田中での改革ドキュメントとともに解説した『つなげる力』(ともに文春文庫)、『35歳の教科書―今から始める戦略的人生計画』『藤原和博の必ず食える1%の人になる方法』など著書多数。最新刊はコミュニケーションと対人関係が苦手な日本人のための手引き『もう、その話し方では通じません』(中経出版)。


取材・文/西尾英子 パネルデザイン/引間良基


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