長期優良住宅

消費税後こそ考えたい、100年住宅の再検証

ここのところ消費税8%、そして10%引上げ後の住宅について記事を展開していますが、この消費税による一時的ブームで忘れがちな、住宅のあり方の底流に流れる本質の一つ「長期優良住宅」「100年住宅」について改めて触れてみたいと思います。

河名 紀子

執筆者:河名 紀子

家づくりトレンド情報ガイド

ここのところ消費税8%、そして10%引上げ後の住宅について記事を展開していますが、この消費税による一時的ブームで忘れがちな、住宅のあり方の底流に流れる本質の一つ「長期優良住宅」「100年住宅」について改めて触れてみたいと思います。

長期優良住宅法から早5年

冊子

200年住宅読本として2009年に配布された消費者向け冊子

長期優良住宅法が2009年に施行されてから5年。この2年後に東日本大震災が起き、耐震性はもちろんのこと、エネルギーを自分で自給するスマートハウスブーム、消費税や相続税引上げなど、住宅業界は次から次へとくるホットな話題で盛り上がっていますが、こうした時流のトレンドに振り回されることなく、底流を流れていて本来、常に考えなくてはならない本質の一つが、「長期優良住宅」です。

長くもつ住宅の基準として設定された住宅性能表示制度は2000年、長期優良住宅法は2009年に施行され、「100年住宅」という言葉も打ち出されましたが、いずれも業界を揺るがすほどのホットな話題になることなく、ややトーンダウンしているのが実情ではないでしょうか。

住宅取得層に響きにくい理由

なぜか。これはガイドの私見になりますが、100年、つまり子や孫の3世代もつ住宅のメリットが日本の住宅取得層に響いていない(響きにくい)ことが考えられます。この理由は2つ。第一は、非婚・非出産化が進み、子や孫のことを真剣に考えるであろうファミリー人口が急激に減少していること。

メリット

子や孫世代のメリットが諸外国に比べて響きにくい日本…。

第二は、これに加えて、「自分たちの老後の年金でさえ危ういのに、子や孫までもつ住宅を建てるメリットって何なの?」「地球全体でみる省エネや省資源で環境貢献することや、廃材を減らすことは、頭では良いことと分かっていても、自分たちの実生活に具体的にどんなメリットがあるの? そのために長期優良仕様にして追加費用になる投資リターンはどのくらいなの?」といった疑心が本音なのではないでしょうか。実際、ガイドが講演活動等で聴講者の方にこのような表情をされる場面も少なくありません。

人間は建前論は頭で分かっていても、どうしても損得で考えます。自分たちにどういうメリットがあるかを考えて購買行動をするのが基本です。実は先般、某雑誌の企画で「長期優良住宅のメリットを消費者に伝えるためにはどうしたらいいか」という御相談を受けました。国や業界が掲げる中長期の総論はよく分かるんだけど、消費者に「来年建てる家を長期優良仕様にするメリットを伝える」ことが難しいというのです。

確かに、と頷いてしまいました。そこで「もし私が消費者の立場に立ったら、主婦の立場に立ったら、こんなことを言われれば少しは心が動くかも…」という視点で、以下の4つのポイントを考えてみました。
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